コラム
今週の1冊 第2735号/15.10.19

疾走した哲学者の生涯と問題意識を解説
廣松渉――近代の超越

小林敏明 著 講談社学術文庫 定価800円

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 1960年代から90年代に駆け抜けた哲学者、思想家がいた。日本のニューレフト運動のイデオローグとしても活躍した廣松渉がその人物だ。本書は、これまで廣松からその生涯を聞き取った書物も、ものしている小林敏明によるものだ。廣松が生涯を通じて探求してきたことを、マルクス主義へのアプローチとそこから近代を乗りこえることという問題意識に解説を加え、知らしめようとする解説本でもある。
  廣松は、難解な漢字を重ねながら、マルクス解釈を重ねた。そのポイントは、徹底した実証的研究。たとえば「ドイツ・イデオロギー」の編纂問題に象徴されるようなものだが、精緻な研究によって成し遂げた。疎外論から物象化論へというシェーマは当時の流行ともなった。廣松の特徴は、唯物論をタダモノ論ではなく、関係があってそこからものが出来してくるのだ、という解釈を加えたことだ。
  その廣松が、94年の死の直前に書き残した、朝日新聞へのいわば遺稿が大きな論議をよんだことは記憶に新しい。
   読者案内も付録につけた本書は、廣松哲学のキーワードと概要を知るうえでも大いに参考になるものだ。(A)

 

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