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コラム
今週の1冊 第2779号/16.09.19

拾った新聞で字を覚え
キリンの子 鳥居歌集

鳥居 著  KADOKAWA 定価 1600円 

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  「目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ」。本のタイトルとなった短歌は、歌人その人の姿となって立ちあらわれる。若手の女性歌人として注目を集める鳥居さんだ。2月に初の「キリンの子 鳥居歌集」を世におくりだした。歌集自体が好評価をえているが、優れた識字作品である一面にも注目したいと思った。
  歌集の背景を知るためには、『セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語』(岩岡千景著・KADOKAWA・1300円)が好著だ。東京新聞と中日新聞に連載された「鳥居~セーラー服の歌人」を全面的に書き直したノンフィクション伝記となっている。先進国日本の歪みから生じた子どもの貧困問題。それを地でいった一人が鳥居さんだった。
  義務教育を受けられなかったことへのこだわりから、セーラー服姿が鳥居さんのトレードマークになっている。短歌は鳥居さんの救いとなり、言葉を取り戻す糧ともなったが、過去の体験と向きあいながらの創作活動は痛痛しさをともなう。それだけに伝わるものも大きい。「屋上へ続く扉をあけるとき校舎へながれこむ空のあお」。2学期がはじまる日の空だろうか。   (土)


 

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