部落解放同盟ガイド
見解

 

10・30集会アピール

 41年前、東京高裁の寺尾正二裁判長は、石川一雄さんに無期懲役判決をおこなった。寺尾判決は、別件逮捕や密室の取調べを正当化し、冤罪を生み出した部落差別の問題にふれることなく、警察の鑑定と自白に頼って強引に石川さんを犯人と決めつけた。いまも石川さんに「みえない手錠」をかけている、この不当有罪判決に対して第3次再審請求が申し立てられて10年目に入っている。
 第3次再審請求では、これまでに180点を超える証拠が開示され、寺尾判決の誤りがつぎつぎと明らかになっている。開示された石川さんの逮捕当日の上申書は、脅迫状と筆跡も筆記能力も異なることが明らかだ。犯行に使われた手拭いが石川さんの家のものではないことを示す当時の捜査書類も証拠開示によって発見され、捜査の不正さえ浮かびあがっている。証拠開示された捜査報告書は、鞄や腕時計が警察によってねつ造された疑いを示している。開示された取調べ録音テープによって、石川さんが、死体の状況や鞄や教科書の捨て方など犯行内容をまったく知らず、取調官らが誘導してウソの自白をつくっていったことが明らかになった。さらに、万年筆発見のもとになったとされた「略図」が警察官によって改ざんされたものであることも明らかになった。
 筆跡の一致を有罪証拠の主軸とし、捜査に不正はなく、自白は信用できるとした寺尾判決は大きく揺らいでいる。証拠開示と専門家の鑑定、科学的な新証拠によって寺尾判決の誤りと石川さんの無実は明白だ。いまこそ、徹底した証拠開示と事実調べがおこなわれ、再審が開始されなければならない。
 ことし7月からあらたに担当となった東京高裁第4刑事部の植村稔裁判長は、証拠開示をすすめてきたこれまでの裁判所の姿勢を踏襲するとし、検察官に証拠開示を促している。にもかかわらず、検察官は「不見当」と回答するだけで、誠実に開示請求におうじようとしていない。しかし、検察官だけが、裁判に出さなかった証拠をすべて見て、出す出さないを決める権限をもち、弁護側は証拠の内容さえわからないなどという実態はだれが考えても不公平・不公正ではないか。捜査で集められた証拠は検察官の独占物ではない。真実発見のための公共財産であるはずだ。再審で無罪となった足利事件や布川事件の教訓は、冤罪をなくすために検察官手持ち証拠の開示と鑑定人の尋問などの事実調べが不可欠だということである。わたしたちは、狭山事件においても袴田事件においても、検察官の不当・不誠実なやりかたを断じて許さない。
 石川さんが半世紀以上も冤罪を叫び、多くの新証拠が明らかになってきたにもかかわらず、寺尾判決以来41年間、一度も事実調べがおこなわれていない。
 わたしたちは、東京高裁の植村裁判長が、狭山事件の第3次再審請求において、再審制度の理念とこの間の冤罪の教訓をふまえ、証拠開示、証拠リストの開示を検察官に勧告するとともに、鑑定人の尋問をおこなうよう強く求める。東京高検が高検以外の証拠物のリストをすみやかに開示するよう求める。袴田事件の一日も早い再審開始と無罪判決、すべての無罪を叫ぶ人たちの再審開始を求める。そして、冤罪根絶にむけて、冤罪者被害者や支援運動と連帯し、司法反動を許さず、再審における公正な証拠開示の確立、取調べの全面可視化を実現する闘いを全力ですすめる。
 一日も早く石川さんの「みえない手錠」をはずすために狭山事件の再審を実現しよう!

 2015年10月30日

狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

 

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