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「部落地名総監」差別事件から40年、差別糾弾闘争を強化しよう

「解放新聞」(2015.01.26-2700)

 本年は、1975年に「部落地名総鑑」差別事件が発覚してから40年である。当時、大阪府連を中心に、『人事極秘』などと題された差別図書の存在が明らかにされ、国会でも取りあげられ、労働大臣声明が出された。また、12省庁の事務次官名で経済6団体に要請書がだされるなど大きな社会問題となった。
  「部落地名総鑑」発覚当時は、企業による採用時の就職差別が数多くおこっていた。とくに就職応募者に書かせていた調査用紙である「社用紙」には、本籍だけでなく、親の仕事や家族構成など、本人の能力や適性以外の事項で採否を判断することが当たり前のようにおこなわれていたのである。そうした差別実態にたいして、全国的に「統一応募用紙」採用の運動が拡がり、就職差別の実態が大きく改善されてきた。
  「部落地名総鑑」は、この就職差別撤廃に向けたとりくみに挑戦するかのように発刊されたのである。

 8番目に発見された「部落地名総鑑」の序文には、就職・結婚での差別身元調査が大きな社会問題になっているとしながら、「しかし、大部分の企業や家庭に於いては、永年に亘って培われて来た社風や家風があり」として「採用問題と取り組んでおられる人事担当者や、お子さんの結婚問題で心労されている家族の方たちには、仲々厄介な事柄かと存じます。このような悩みを少しでも解消する事が出来ればと、此の度世情に逆行して、本書を作成する事に致しました」と、就職差別撤廃、部落差別撤廃に向けたとりくみを真っ向から否定し、購入をよびかけている。今日、いまだに差別身元調査や土地差別問い合わせ事件、戸籍等大量不正取得事件がおこっているが、まさに部落を忌避する差別意識の存在は、40年の時がすぎてもなお根強いといえる。
  しかも、インターネット時代を反映して、「部落地名総鑑」と題したリストが掲載されるなど、差別情報に対応する法的規制もなく、削除要請以外の有効な対抗策がないのが実情である。
  現在、「部落地名総鑑」は10種類が確認されているが、一部を除いて作成者・販売者などが不明であり、真相究明のとりくみも引き続き重要な課題である。法務省は、1989年に「終結宣言」を出したが、その後も「部落地名総鑑」が回収されるなど、政府の無責任な対応も大きな問題である。


 「部落地名総鑑」を購入した企業にたいして、統一糾弾会を2度にわたって開催し、そのなかで、当時の企業の差別体質、とくに採用時に部落出身者を排除する差別的な企業防衛意識が明らかにされた。企業は、部落問題にとりくむ社内体制や研修体制の確立をすすめることになり、そうしたとりくみの積み重ねの上で部落問題にとりくむ企業連絡会が、東京、大阪をはじめ各地に結成されてきた。
  企業連絡会は、今日、部落問題だけでなく、幅広い人権問題の解決に向けて積極的にとりくんでいる。社員研修はもちろんのこと、人権啓発の手法などの研究や企業の社会的責任(CSR)に関する活動など、企業活動全体にも大きな責任と役割をはたす成果をあげている。

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 「部落地名総鑑」差別事件を契機に、当時の労働省からは、100人以上の事業所に、企業内同和問題研修推進員の設置を求める職業安定局長通達が出された。また、個人情報の適正な取り扱いを明記した職業安定法の改正もされた。さらに大阪、福岡、熊本、香川などでは、「部落差別調査規制条例」が制定されるなど、差別解消に向けた制度を実現している。
  このように「部落地名総鑑」差別事件は、糾弾闘争で明らかにしてきた差別身元調査の実態を広く訴え、部落問題の解決に向けた社会制度の変革や実現に結びつけてきた。しかし、「部落地名総鑑」差別事件は、いまだに終わってはいない。
  「部落地名総鑑」差別事件を風化させることなく、成果と課題を共有する幅広いとりくみをすすめ、差別身元調査の根絶に向けて闘いを強化しよう。


 

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