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NEWS & 主張

「戦争する国づくり」、差別排外主義との闘いを
九条と平和掲げて闘いぬく
憲法と「建国記念の日」を考える集会

「解放新聞」(2015.02.23-2704)
戦後最大の平和と民主主義の危機に問われるこれまでの闘いの存在理由
  戦後70年。改憲への具体的日程が言及されはじめた安倍政権。侵格を否定する歴史認識と戦争をする国への転換はアジア諸国の大きな脅威と懸念になっている。こうした事態空別に 「憲法と「建国記念の日」を考える2月11日集会~安倍政権の暴走とナショナリズム」が東京・日本教育会館でひらかれ、300人が参加した。主催はフォーラム平和・人権・環境。集会では、中西新太郎(横浜市立大学名誉教授)さんと、相可文代(「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」)さんが講演をした。
  中西さんは、「若者とナショナリズムー「無邪気」な国家主義の真相」と題して講演した。日本社会の右傾化ということを若者の政治意識・態度と結び付けてとらえる理解には根拠がない。右傾化の進行に危倶をいだく人びとが想像する若者像・右傾化像には誤解がある。若者だけが右傾化しているのではなく、2010年代にはいってから「大衆心情」の右傾化(国家主義化)はより上の年代層で進行してきたとのべた。また、右傾化について、「ネット右翼」の中心を若者とみるのは正確ではない。若年層の右傾化をもたらすのは、特有の社会文化的回路が存在すると指摘した。
  若者は戦後民主主義と憲法秩序への不信があり、代替え的な正義の構築が求められてきた。自由にものがいえる人は特権的であり、自己中心的であるとし、被害者、被抑圧者の「弱者」への封じ込めが推進される。弱者と公的に認知されている存在の特権にたいする敵意が伏在しており、在日韓国・朝鮮人や被差別部落、アイヌ、沖縄、ハンセン病患者などがターゲットになる正義感の転回を引きおこすとのべた。
  これらは、若い世代の生きづらい現実の側から歴史的現実に接近する必要があり、身動きのとれない状況を突破する社会形成の回路としての社会的・社会化された民主主義の獲得が求められていると指摘した。
  相可文代さんは教育現場の現状を報告しながら、2015年夏の育鵬社・自由社の教科書の採択の阻止を訴えた。

加害の歴史消す「歴史修正主義」
  主催者あいさつをした福山真劫・共同代表は、後藤健二さんが亡くなった。彼の戦火のなかで苦しんでいる人たちの姿を伝えたいという姿と思いを共有したい。中東地域に犠牲と混乱だけをもたらしたアメリカの戦争に後方支援という形で日本は協力してきた。安倍政権は戦争のできる国に導いており、そういう政権が(シリアでイスラム国に拘束された)後藤さんを犠牲にした。憲法九条と平和を掲げてこれからも闘いぬいていきたい。歴史修正主義とは、歴史認識を修正することであり、加害の歴史を消し去ることだ。
  来年の参院選挙後は憲法前文、九条も変えていこうとしている。これは日本を軍事大国へと導くことになる。戦後最大の平和と民主主義の危機だ。5月3日が最初の大集会になる。日本の平和運動の存在自体が問われているし、これまで闘ってきた者たちの存在理由が問われている、と闘いへの覚悟を促した。


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