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証拠開示・新証拠の積み重ねをバネに、えん罪52年をアピールし狭山再審を訴えよう

「解放新聞」(2015.04.20-2711)

 狭山事件再審弁護団は1月に東京高検保管の証拠物279点の一覧表(領置票)が開示されたことをうけて、これを精査し、存在があらたに明らかになった筆跡に関するものと思われる証拠物や航空写真ネガなど5点の開示を求めた。これにたいして、3月24日におこなわれた第22回3者協議で、検察官は、航空写真112校を開示した。このうち9枚は、1963年7月3日付けで警察が作成した現場写真撮影報告書に添付されており、事件発生4日後の5月5日に撮影された航空写真である。弁護団は殺害現場や被害者の鞄の投棄などについての石川さんの自白が客観的状況と食い違っていることを明らかにした新証拠を多数提出しているが、今回開示された航空写真はこうした弁護団の主張をさらに裏付ける可能性がある。弁護団は写真値ネガをデータ化し、今後精査していくことにしている。
  弁護団が求めた証拠物のリストが開示され、それによって明らかになった証拠物が具体的に開示されたことで、証拠開示がさらに一歩すすんだ。

 しかし、一方で、このほかに開示を求めた証拠物については、石川さんの筆跡が存在するものはなく、必要性・関連性がないとして検察官は開示していない。また、東京高検以外の証拠物の一覧表の開示を求めたことにたいlしても、検察官は、証拠物はすべて東京高検に集められているので、この一覧表に記載された以外の証拠物はないと回答するにとどまっている。
  弁護団は、当時の実況見分調書に記載されている犯行現場を撮影した8ミリフィルムが「不見当」とざれていることなどを指摘し、東京高検の領置票に記載された証拠物がすべてとすることに疑問があり、ほかの証拠物の存否を客観的に検証するためにも、埼玉県警や浦和地検などで作成された一覧表を開示するよう三者協議で求めた。証拠開示の攻防は続いている。証拠物一覧表の開示、航空写真の開示など証拠開示がすすんできている状況をいかして、徹底した証拠開示を求める世論をさらに大きくしよう。


 弁護団は2月13日に手拭いに関する新証拠と補充書を東京高裁に提出した。提出された新証拠は、証拠開示された捜査報告書や弁護団独自の調査にもとづく報告書などで、これで新証拠は155点となった。
  狭山事件で死体を縛るのに使われた手拭いは市内の米穀店が配った165本のうちの1本だったが、石川さんの家からは配られた手拭いが提出されている。このことで、犯行に使われた手拭いは石川さんの家のものではないことになるはずだが、検察官は、石川さんの家族が手拭いに関するTBSテレビのニュースを見て、義兄宅または隣家から都合をつけて警察に手拭いを提出したと主張し、寺尾判決(確定有罪判決)は検察官の主張を根拠に手拭いを有罪証拠の一つにした。
  ところが、2013年に証拠開示された捜査報告書で警察官が事件直後の5月6日の昼(午後0時20分)に石川さんの家で手拭いを現認していることが明らかになった。また、弁護団の照会請求にたいするTBSテレビの回答によって、手拭いに関するニュースが5月6日の昼のニュース(午後0時2分から)であることがわかり、ニュース放映後警察官が手拭いを現認するまで約17分しかなく、手拭いを報じたテレビニュースを見て都合をつけたという検察官の主張が成り立たないことが明らかになったのである。
  弁護団は、開示された捜査書類を精査するとともに、関係者などへの調査活動によって、義兄宅に配られた手拭いが2本ではないことや隣家へは配られていないことなどを明らかにし、検察官の主張をうのみにした寺尾判決が完全に崩れていることを示した。犯行に使われた手拭いは石川さんの家のものではなく、石川さんの家には手拭いがあり、警察に提出されていることは石川さんの無実をはっきりと示している。

 弁護団は昨年、取り調べ録音テープの弁護団による反訳書(テープ内容を文字におこしたもの)とともに、取り調べテープを心理学的に分析した浜田鑑定、脇中鑑定を提出した。これも重大な新証拠だ。
  タオルで目隠しされ、手拭いで後ろ手に縛られていた遺体の実際の状況や遺体をどのように運んだか、あるいは被害者の鞄の捨て方や脅迫状の説明など、犯人なら当然答えられるようなことを石川さんがまったく知らないことが録音テープの取り調べのやりとりにはっきりあらわれている。石川さんが犯人ではないゆえの「無知の暴露」(犯人ならわかるはずのことを石川さんが知らないこと)が取り調べのやりとりにあらわれていると二人の心理学者の鑑定書は指摘している。
  石川さんが取り調べで、遺体がどうなっていたか教えてほしいとたずねたことが書かれていた関巡査の取り調べ状況の報告書も開示された。真犯人がこのようなことを取調官に聞くはずはなく、取り調べ録音テープとあわせて石川さんの無実を明確に示す新証拠だ。東京高裁は、取り調べテープと心理学者の鑑定書、開示証拠をふまえて自白の全面的な再検討をすべきだ。
  弁護団は証拠開示を着実にかちとり、新証拠を積み重ねている。さらに証拠開示・事実調べを実現し、再審開始に結びつけていくために、東京高裁を動かし、検察を追い込む大きな世論が必要だ。新証拠や証拠開示の学習と教宣を強化し、世論拡大をはかりたい。
  次回の第23回3者協議は5月下旬におこなわれる。3者協議に向けて、東京高裁、東京高検にたいして事実調べ、証拠開示を求める要請ハガキを全国から送ろう。狭山事件発生、石川さんの不当逮捕から52年をむかえて、5月21日に東京・日比谷野音で再審を求める市民集会がひらかれる。創意工夫をこらして全力で参加しよう。全国各地でもえん罪52年を訴えて、再審を求める市民集会の開催や街頭宣伝、署名活動、要請ハガキ運動などのとりくみをすすめよう。「すべての証拠物を開示せよ!」「捜査書類をふくめた全証拠のリストを開示せよ!」「東京高裁は証拠開示で明らかになった新証拠の事実調べを!」という声をさらに大きくしていこう。


 

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