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「同対審」答申50年をふまえ、大分全研の成功を

「解放新聞」(2015.09.21-2731)

 「「同和対策審議会」答申50年をふまえ、人権・平和・環境を基軸にした部落解放運動の新たな展望を切り拓く理論研究と実践交流をすすめよう」を集会テーマに、「部落解放研究第49回全国集会」が大分県別府市でひらかれる。日程は、11月10日から12日までの3日間、ビーコンプラザほかを会場にひらかれる予定である。
  1日目のシンポジウムは、集会テーマにあるように「同和対策審議会」答申50年をむかえ、その成果と意義を再確認し、これからの部落解放運動を創造しようとの趣旨でおこなわれる。
  パネリストには、元中央執行副委員長だった奈良県連委員長の川口正志さん、元中央執行委貝で部落解放・人権研究所名誉理事の大賀正行さん、現部落解放・人権研究所代表理事の奥田均さん。そして、コーディネーターには中央本部書記長の西島藤彦さんの4人によるシンポジウムがひらかれる。
  「同対審」答申が内閣に提出される経緯については、川口さんや大賀さんが、長年にわたる苦難に満ちたとりくみによって「国策樹立」運動として結実し、国を動かした歴史的な瞬間を熱い思いを込めて語ってくれることになるだろう。
  この国に部落問題という「恥ずべき社会悪」が存在し「その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」こと、そしてその解決は「焦眉の急を要するものである」ことを政府につきっけた「同対審」答申は、その後の部落解放運動はもとより、労働運動との連帯や市民運動との協働のとりくみなど、噸広い人権運動へと発展を遂げる原点であったことを再確認しておく必要があるだろう。

 「同対審」答申から4年後の1969年には「同和対策事業特別措置法」が制定され、「答申」と「特別措置法」は周や地方自治体の同和問題への認識やとりくみに劇的な変化を促し、部落の住環境は大きく改善され、全国平均の半分以下だった高校進学率は急速に高まった。部落解放運動も拡大・発展し、部落問題解決にとりくむ人たちの輪は官民問わずひろがっていったのである。
  しかし、33年間におよぶ「特別措置法」は住環境の改善が中心であったため、教育や産業・労働面へのとりくみは弱く、未指定地区は取り残され、一部では行政や事業への過度な依存と癒着を生んだという痛恨の歴史も、また忘れてはならない課題としてある。
  また、「同対審」答申から50年の歴史は、いま、あらたな課題を惹起させている。戸籍等個人情報大量不正取得事件、土地差別調査事件、インターネット上での差別情報、連続差別投書事件やヘイトスピーチの拡大も深刻化しており、「答申」が求めた人権が確立された社会の実現どころか、人権状況がますます深刻化してきているという現状がある。
  部落にたいする忌避意識やマイナスイメージは、いまなお根強く、最近の意識調査では差別意識の悪化傾向すら見られる。格差・貧困社会の広がりのなかで、部落の経済状況は再び厳しい実態にある。「答申」が指摘した課題はいまだ解決しておらず、「恥ずべき社会悪」は払拭されていない。

 50年前、「答申」はすでに「差別に対する法的規制、差別から保護するための必要な立法措置を講じ、司法的に救済する道を拡大すること」を求めていた。差別の法的規制・人権救済制度も未整備のままだ。「答申」は「特別措置法」のような「時限立法」ではない。「地対協」意見具申が指摘したように「同和問題がある限り、同和行政は推進されなければならない」ことはいうまでもない。
  私たちは第49回全研で「同対審」答申の成果と課題をあらためて確認し、その歴史的意義、今日的な意味を共有しよう。「同対審」答申が出されて半世紀、その精神を継承し、いまこそ「答申」の完全実施に向けた運動を広範な人びとと手を携えるなかですすめ、差別のない人権尊重の社会づくりを着実に前進させていくことが求められている。
  2015年の本年は、「同対審」答申から50年という節目の年であるとともに、「部落地名総鑑」発覚から40年、全国ではじめて大阪府で「部落差別調査等規制等条例」が制定されてから30年という節目の年でもある。
  この50年の部落解放運動の歴史は、部落問題が人間の尊厳を侵すものであり、差別の背景には経済や社会、文化などの社会的要因が存在していることを解明してきた。また、部落にたいする心理的差別や実態的差別を認識し、社会的関係の差別であることを明らかにしてきた歴史でもある。
  全国から結集する部落解放研究第49回全国集会の参加者により、さらにいっそう深化した議論と実践報告を期待し、大分全研の成功を全国によぴかける。


 

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