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地域のとりくみをもち寄り、識字交流集会の成功を

「解放新聞」(2015.10.05-2733)

 部落解放同盟は、日本教職員組合、公益社団法人全国人権教育研究協議会、国際識字年推進中央実行委員会の協賛をえて、第16回全国識字経験交流集会を10月l・8、通の両日にわたって滋賀県彦根市でひらく。部落差別の結果もたらされた深刻な非識字にたいするとりくみは、部落解放運動の「原点」ともいえる。厳しい時代にこそ、識字運動を大切にする運動の賃を堅持し、全国識字経験交流集会を成功させよう。
  全国水平社創立当時にも、被差別部落には差別と貧困によって文字を読めない、書けない人たちが多くいた。水平社は創立から4年後の1926年に「水平社教育方針書」を策定し、軍隊入隊前の青年たちに文字教育をおこなうなど、組織的なとりくみをすすめた。まだ「識字」という言葉が使われていない1950年代には、解放運動、同和教育運動の高まりのなかで、文字の読み書きを学ぶとりくみが、れぞれの地域の状況に応じてはじめられていった。
  大阪では仕事に必要な運転免許をとるための文字学習会がおこなわれ、1960年代には、福岡の産炭地を中心に識字運動が広がっていく。そして1969年の部落解放第14回全国婦人集会(現・女性集会)で初めて識字の分科会が設置され、いらい、女性部を中心に全国的な広がりをつくってきた経緯がある。

 非識字(文字の読み書きができないこと)は、仕事や日常の生活で、識字者の想像を絶するさまざまな困難や苦痛を生じさせる。しかし、非識字であることを自分の責任であると考え、恥ずかしいと患い、文字を奪いかえす機会を奪われてしまうことも多い。
  部落解放運動はそうした非識字者の立ちあがりの難しさを克服して、全国の部落で識字運動を組織してきた。心の奥底に隠された切実な要求をひき出し、自己責任化された非識字の現実と向き合い、勇気を奮いおこして、識字学級を組織してきたのである。非識字者は比率として女性に多いが、それはまさに複合差別によるものであり、社会のもっとも弱い人たちに矛盾が集中しているのである。
  そのようななかでおこなわれた識字学級は、文字を学びながら文字を獲得できなかった生い立ちを綴り、非識字を生み出す部落差別の重い現実に思いをいたらせる。まさに文字を学ぶみずからの努力と差別社会の変革を結びつけていくとりくみであった。
  部落解放運動は、このような一人ひとりの困難や切実な要求に応える力をもちえてきたのであり、識字運動は部落解放運動の「原点」ともいえるとりくみなのである。

 全国夜間中学校研究会によれば、日本の義務教育未修了者は、全国に百数十万人いるといわれており、識字を必要としている人たちは多く存在する。在日韓国・朝鮮人や障害のある人、中国からの帰国者やあらたに外国から移住してきた人、不登校の人など、さまざまな理由で文字を学べなかった人たちが、夜間中学や日本語教室で識字にとりくんでいるが、こうしたとりくみにたいする行政支援は不十分なばかりか、予算の縮小や打ち切りがすすめられているのが現状である。2001年に8都府県34校あった公立夜間中学が、2014年には31校に減じており、このような流れにたいして、予算の確保、周知徹底など、行政施策の充実を求めていかなければならない。
  また、世界の非識字人口の7割が集中するアジア地域では、「ユネスコ世界寺子屋運動」が展開され、アジア太平洋地域では「女性のための識字教育センター」が展開されている。国内の識字運動の連携をこうした動きと連動させ、国際識字年推進中央実行委員会をはじめ各地での実行委員会の活動を強化するとともに、識字活動の全国的な実能括握や法整備を政府に求めるとりくみをすすめていかなければならない。
  全国識字経験交流集会は全国の識字学級を中心に、各地の学習や実践を交流しながら、識字運動のいっそうの発展をめざす場である。文字を奪われた苦しみや辛さ、識字学級との出会いや文字を覚える喜び・感動を共有しながら、今後の識字運動の充実をめざそう。


 

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