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NEWS & 主張
焦点 マイナンバー制度の問題点
坂本 団  弁護士
拡大する国の情報監視と管理
「解放新聞」(2015.10.12-2734)
課題が山積、施行延期が必要だ
  マイナンバー制度がはじまろうとしている。10月にはそれぞれの番号が印字された通知カードが手元に届く。政府は児童手当や奨学金、結婚や就労年金などあらゆる場面でマイナンバーを使わせようと利用例を示し、莫大な予算を組み構築した情報提供ネットワークシステムで個人情報漏洩を防止できると強調する。
  番号による札付けは行政では住基ネットなどがすでに開始されているが、これまでの番号を使った制度と違うのは民-民-官で番号を流適させること。行政手続きが簡素化する、とアピールしている。アメリカの社会保障番号制度では「なりすまし」があとをたたない。2006~09年での被害額はおよそ500億ドル。深刻化する被害状況から見直しを検討する国が増えるいま、マイナンバーにとりくむ日本。抵抗する手立てはないか、ともに考えていきたい。
  政府はマイナンバー法の目的規定に行政の効率化、国民の手続き負担の軽減などをあげている。同じような目的を掲げてはじめられた住基ネットは私たちの負担を軽減しただろうか。マイナンバーをつけることで実現はするのだろうか。9月、2018年から預金口座にも任意で番号を適用するなど範囲を拡大する改正法が衆院本会議で可決、成立。脱税や年金の不正受給防止目的というが、今後、戸籍や健康保険証、民間企業の社員証、キャッシュカード、として携帯せざるをえない状況がつくられる危険がある。また口座だけではなく不動産などの資産も番号で札付けしようということも考えられている。3年前の政府見解では「医療分野でやりとりされる情報は、機微性が高い情報をふくむので(中略)マイナンバーとは異なる医療分野でのみ使える番号を」としていたが、メタボ健診などの情報も紐付けされることも決まり、さらに拡大するとみられている。
  これだけの個人情報を紐付けし、流通させることが決められながら漏示防止の徹底は非現実的なもので、被害が続出するとの声があがっている。民間でも流通することを決めながらも、その周知と準備は遅れている。今年1月の内閣府世論調査では「制度の内容まで知っていた人」は28・3%。日本情報経済社会推進協会が調べた「マイナンバーへのシステム対応が完了した企業」は18・2%だった。また「特定個人情報保護評価」の実施で情報流出は防止できるとするが、これを「おこなっていた」としていた年金機構からは100万件以上の情報が流出。自己監査に過ぎないということをあらためて気づかされた私たちにとっては納得できる説明ではないだろう。
  課題が山積する状況での運用開始では不正使用・個人情報の漏洩が広範に発生することは間違いない。利用範囲の拡大など論外。施行延期が必要だ。

 

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