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証拠開示と新証拠提出をふまえ、10・30狭山市民集会に結集しよう

「解放新聞」(2015.10.12-2734)

 隠されていた証拠がつぎつぎと開示され、それをもとに弁護団が新証拠をつぎつぎ提出するなかで、狭山第3次再審は重要な段階をむかえている。部落解放同盟と部落解放中央共闘会議、狭山事件の再審を求める市民の会は、10月30日、東京・日比谷野外音楽堂で「狭山事件の再審を求める市民集会」をひらく。全国からこの集会に参加しよう。いまこそ証拠開示と事実調べをかちとり、再審開始を実現しよう。
  まず、第3次再審闘争の最近の動きについて確認しておこう。6月29日付けで東京高裁第4刑事部の河合健司・裁判長が植村稔・裁判長に交代した。植村裁判官は、2010年から3年間、最高裁刑事局長、その後、東京高裁判事をへて、甲府地家裁所長に就任し、今回東京高裁第4刑事部の裁判長として狭山事件を担当することになった。植村新裁判長がどのような姿勢で狭山事件に向き合うのかが注目されたが、7月27日にひらかれた第24回3者協議で、植村裁判長は証拠物や客観的な証拠は開示してほしいという、これまでの裁判所の基本姿勢をひき継ぐことを表明した。プライバシーの問題があるというのであれば、まず裁判所に提出し、裁判所が判断するという方法を提示し、証拠開示をすすめるという姿勢を示した。こうした証拠開示の基本姿勢が示されたことは、これまでの粘り強い弁護団の活動や支援運動の成果として確認できるだろう。また植村裁判長は、証拠物リストの開示によってあらたに焦点になった東京高検以外の証拠物の一覧表の開示について、弁護団が出した意見書にもとづき検討するとした。8ミリフィルムなどの存在が明らかな証拠がリストにふくまれていない以上、すべての証拠物のリストを開示することは,裁判所の方針からも当然のことといわなければならない。

 ところで弁護団は、3者協議の直前の7月24日に2つの新証拠を提出した。
  ひとつは、車の追いこし問題に関する新証拠だ。これまで狭山事件では、5月1日、自転車に乗って脅迫状を届ける途中の鎌倉街道で自動三輪車に追いこされた、という石川さんの自白にそって捜査した結果、それがYさんの運転する自動三輪車だと判明したとして、これが「秘密の暴露」にあたるとされ、有罪の根拠にされてきた。寺尾判決も、鎌倉街道を自転車でとおったという石川さんの自白が6月21日で、Yさんら3人の鎌倉街道をとおったという調書が、それよりあとの6月27日付けであることを取りあげ、自白にもとづいて捜査してはじめて鎌倉街道を車でとおったことがわかった「秘密の暴露」だ、と有罪の根拠にした。
  このため弁護団は、ことし5月にYさんや同乗した0さん、Tさんの5月1日の行動や鎌倉街道を走行した車両に関する捜査書類などの証拠開示を求めた。これにたいして、7月21日付けで検察官は、1963年5月7日付け捜査報告書1通を開示した。開示された報告書は「手拭いの配付先」についての報告書であったが、0さんの家が手拭い配付先の1軒であったことから、0さんの5月1日の行動が記載されていた。それによると0さんはこの日、Tさん、Yさんとともに午後7時から同じ市内のHさん方に市議会選挙の当選祝いにいったと記載されている。捜査当局はYさん運転の車が5月1日の夜に鎌倉街道を走行したことを、自白より1か月以上も前に把握していたのだ。これによって車の追いこしは、「あらかじめ(自白より前に)捜査官が知りえなかった事項」ではなく、また石川さんの自白にもとづいた捜査によってはじめてわかった事実ではないことが浮き彫りになった。弁護団は、これを新証拠として提出した。また弁護団は、アリバイについて捜査したという捜査報告書の記載からすれば、裏付捜査がおこなわれ、Y、0、Tさんらの供述調書等が作られたことが考えられるとして、これら関係者について捜査した書類の開示勧告申立書を東京高裁に提出した。

 もうひとつは、万年筆の発見に関連した石川さんのいわゆる「略図」に関する新証拠だ。万年筆の発見については、そもそも2度にわたる徹底した家宅捜索のあとに発見されたことや、発見された万年筆のインクと被害者が使用していたインクの色が違うことなどが指摘され、捜査官のねつ造が疑われてきたが、略図の赤外線撮影によって、いよいよでっち上げが明らかになってきた。
  狭山事件では、石川さんが書いたとされる「略図」にもとづいて捜索したところ、石川さん宅のお勝手入り口のカモイから被害者の万年筆が発見されたとされ、これが決め手になっている。
  ところで、この「略図」には石川さんが鉛筆で書いた図面のお勝手入り口にあたるところに、警察官がペンでひいた複数の線が見られる。この部分は肉眼で見ても、ペン縁の下には石川さんが鉛筆で書いた家の見取図の輪郭線しか見えない。そこで弁護団は、「略図」の赤外線写真撮影によって鉛筆線を強調し判別したところ、略図のペン縁の下には、輪郭線以外に鉛筆線はないことがはっきりした。つまり、万年筆を隠した場所をお勝手入り口のカモイと特定しているのは、警察官が書き加えたペンによる線だけであることが明らかになった。石川さんは万年筆を隠した場所を特定する図面を書いておらず、警察官らが自白とは無関係に、お勝手入り口のカモイを万年筆隠匿場所と決め、ペンで線を書き加えて図面を改ざんしたのだ。
  しかも捜査当局は、この改ざんを隠すために、略図を調書に添付せず、2審の途中まで隠しもってきたのだ。2度の徹底した家宅捜索のあとで発見された経過のおかしさや、発見された万年筆のインクの色が違うことなどとあわせて考えれば、寺尾判決の誤りは明らかというべきだ。

 弁護団の粘り強い闘いによってつぎつぎと証拠が開示され、開示された証拠にもとづいた新証拠の提出で、狭山第3次再審闘争はいよいよ山場にさしかかってきた。開示された証拠は181点にのぼり、また、弁護団が提出した新証拠は176点になった。
  部落解放同盟と部落解放中央共闘会議、狭山事件の再審を求める市民の会は、10月30日に東京・日比谷野外音楽堂で「狭山事件の再審を求める市民集会」をひらく。10・30市民集会に向けて全国各地で狭山の集会や学習会、街頭情宣、署名活動、要請はがき、狭山パネル展にとりくもう。また、東京高裁前の石川さんのアピール行動を支援しよう。全国の同盟員と支援者は証拠開示と新証拠提出によって切りひらかれた再審闘争の現状を確認し、10月30日に日比谷野音に結集しよう。「東京高検は、すべての証拠物をすみやかに開示せよ」「埼玉県警・さいたま地検の証拠物リストを開示せよ」「捜査書類をふくめた全証拠のリストを開示せよ」「東京高裁は、証拠開示で明らかになった新証拠の事実調べをおこなえ」をスローガンに掲げ、10・30中央集会を成功させよう。


 

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