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子育て運動の輪を拡げ、第38回全国人権保育研究集会の成功を

「解放新聞」(2016.01.18-2747)

 敗戦後、日本は憲法のもとで平和主義を築きあげてきた。しかし、安倍政権は憲法の平和主義の理念をふみにじり、「戦争法」(安全保障関連法)の強行成立など「戦争のできる国」づくりをおしすすめている。これにたいして私たちは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の日本国憲法の理念の実現にむけた闘いを強化しなければならない。
  1月30、31日、「部落差別をはじめとするあらゆる差別の現実から学び、人権保育を創造しよう」を集会テーマに第38回全国人権保育研究集会を高知県高知市・県立県民文化ホール オレンジホールを主会場にひらく。高知県では1961年、被差別部落の保護者を中心に憲法の学習をすすめるなかで、「義務教育はこれを無償とする」という憲法を武器に闘い、教科書の無償化をかちとってきた運動の歴史がある。部落差別により苦しい生活を強いられ、教科書を買うことができない部落の保護者や、生活を助けるため学校を休んで働かなければならない子どもたちの実態のなかから運動がはじまった。これらの教育運動は、すべての子どもたちに自由で平等な教育を保障するとともに、憲法を守り、守られることの大切さや保護者組織の重要性を再確認させられる。現在、各地で保護者組織の減少や活動の停滞がみられ、いま一度、保護者組織の強化と活性化をはかっていかなければならない。

 昨年4月から「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、保育制度の大きな転換期にある。だが、新制度の実施にむけての国の対応の遅れから、実施主体である市町村の実施準備に影響し、保護者や職員など保育関係者への周知不足によって各地で混乱・困惑をまねいた。この新制度は、すべての子ども・子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上をすすめるとしているが、実施後も保育士不足や待機児童の増加、保育時間や延長料金の問題、事務手続きに関する問題など、さまざまな課題が明らかになっている。また、「育休退園」問題などにもみられるように、新制度は市町村の姿勢が大きく影響する仕組みになっている。家庭や地域、保育所・幼稚園、小・中学校、行政が一体となり、各地の子どもの状況や課題を共有し、子育て支援の充実、保育制度の改善・改革にむけたとりくみをすすめることが重要だ。
  1960年代初頭にはじまった解放保育運動は、部落の子どもたちが劣悪な環境のなかで、生命をも脅かされている状況を改善し、子どもの生きる権利とその成長を保障するとりくみをすすめてきた。しかし、今日、子どもの性犯罪の被害や虐待をうけて命を落とす痛ましい事件が後を絶たない。2014年度の児童虐待の相談・対応件数は前年度より1万5129件多い8万8931件あり、過去最多となった。また、2013年度の児童虐待死亡事例件数は、63例69人(心中以外の虐待死36例36人、心中による虐待死27例33人)と、件数・人数とも前年度より減少しているものの、心中以外の虐待死事例で0歳児の死亡が16人(44%)を数えており、妊娠から出産後までの継続的な支援をおこなっていく必要があることが明らかになっている。地域のつながりが希薄になり、地域のなかで孤立している保護者が増えてきていることからも、関係機関との連携とともに、解放保育・人権保育運動を地域全体・社会全体のとりくみとして展開していくことが必要だ。
  子どもの貧困対策が動きはじめた。政府は、2013年に「子どもの貧困対策法」を制定し、2014年には具体的な対策を示した「子どもの貧困対策に関する大綱」を決定した。そして、昨年10月、「子供の未来応援基金」(必要な基金を数千万円と見込む)を設置し、民間からの寄付を呼びかけている。大綱に明記された「官公民の連携等によって子供の貧困対策を国民運動として展開する」という項目にそった事業であり、子どもの貧困対策にとりくむNPOや民間企業などの事業の運用に用いるとしているが、国が具体的な政策を示さず、必要な支援を拡充していない時点での民間への寄付の呼びかけに疑問の声も多い。寄付金総額は昨年12月20日時点で645万円にとどまっており、今年4月からの事業開始は困難な状況となっている。
  さらに、昨年12月には、ひとり親世帯や子どもが2人以上いる世帯への支援策を打ち出した。ひとり親世帯に支給される児童扶養手当の2人目以降の加算額を今年8月分(12月支給)から倍増するとしているが、所得制限を設けるため倍増しない世帯もある。また、保育料について、子どもが3人以上いる年収約360万円未満の世帯は子どもの年齢にかかわらず2人目は半額、3人目以降を無料、住民税非課税のひとり親世帯は保育料を1人目、2人目ともに無料化し、保育所・幼稚園ともに来年度から実施するとしている。そのほかには、相談窓口のワンストップ化推進、貸付金の利率引き下げ、資格取得資金の貸付制度の創設などといった内容だ。これらの政策ははじまったばかりで、まだまだ十分な対策とはいえない状況だが、今後も、一時的な対応にとどまらないとりくみを国に求めていかなければならない。

 毎年、全国人権保育研究集会で参加者に集会に関するアンケートをおこなっている。そのアンケート結果から、近年、初参加者の増加や参加者の年齢層が20代と50代に集中している傾向がみられた。また、感想などを通じて若い世代への解放保育・人権保育運動の継承の必要性と課題が明らかになったことから、第38回全国人権保育研究集会では人権保育入門の分科会を設ける。解放保育・人権保育運動の歴史に学び、その継承を目的に学習講演とパネルディスカッションをおこなう。
  1日目のオープニングには「みんなぁ高知の宝ものやき」と題し、保護者、教員、子どもたちによる歌とおどりが披露され、特別報告では「あ・ゆ・み」と題し、高知県での解放保育運動の起こりから、これまでの高知県人権保育連絡協議会のあゆみが報告される。
  21年ぶり3回目の開催となる高知の地で、全国各地の実践をもとに、「子どもと保護者の暮らしの実態を明らかにし、確かな育ちを保障する24時間の保育を創造しよう」を共通テーマに議論と交流を深め、家庭、地域、保育所や幼稚園・こども園、小・中学校での解放保育・人権保育運動の活性化と連携をすすめ、すべての子どもの育ちを豊かに支えていく子育て運動の輪を拡げていこう。


 

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