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厳しい政治状況ふまえ、部落解放・人権政策確立に向けた政治勢力の結集をめざしてとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2016.08.01-2773)

 7月10日に投開票された第24回参議院選挙は、自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党や無所属議員の一部などで、改憲勢力が3分の2をこえるという結果になった。
  とくに、自民党の開票結果は55議席で、単独過半数にはいたらなかったが、選挙後、民主党政権時代に復興大臣となり、その後離党し、今回、岩手選挙区で落選した自民党候補を応援した無所属議員の入党を認め、非改選議席と合わせ27年ぶりに参議院で単独過半数となった。また、おおさか維新の会も改選2議席から、大阪選挙区、兵庫選挙区での議席をふくめ7議席となった。選挙直前に民主党から党名を変更した民進党は、3年前の17議席獲得から32議席と増やし、合計49議席としたが、公示前の62議席からは後退した。
  われわれは、憲法改悪を阻止し、差別と戦争に反対する政治勢力を大きく結集するために、この参議院選挙を重要な政治闘争として全力でとりくんできたが、改憲勢力が3分の2以上の議席を得るという、厳しい結果となった。しかし、比例区選挙では、推薦候補としてとりくみをすすめてきた、民進党公認の石橋みちひろ(情報労連・NTT労組)、えさきたかし(自治労)、なたにや正義(日教組)、なんば奨二(JP労組)、社民党公認の福島みずほ(副党首)の5人が当選した。民進党、社民党とも比例区票は、前回よりも伸ばし、今後の憲法改悪阻止、格差と貧困を拡大する新自由主義政策に対抗するための政治勢力の結集としての第一歩となる成果をあげた。
  選挙区でも、すべての1人区で野党共闘が実現し、一部を除いて候補者を推薦決定した。この1人区では、「戦争法」廃止、憲法改悪反対を一致点として、さまざまな政党、市民団体、労組などが結集して選挙戦がすすめられてきたが、前回の2議席から増やし11議席を獲得した。とくに、沖縄、福島では、現職の沖縄・北方担当大臣、法務大臣を落選させ、辺野古新基地問題や、福島第1原発事故の被害が続いていることへの民意が確実に示された。

 今回の参議院選挙の争点は、平和憲法の改悪を許すのかどうかであり、われわれは、改憲勢力の3分の2を阻止するために全力をあげてきた。しかし、安倍首相は、すでに破綻したアベノミクスの失敗を隠しながら、政権の安定と経済成長のために、「この道しかない」という空虚な訴えを続けた。改憲や「戦争法」発動による自衛隊の海外派兵など、「戦争のできる国」づくりをすすめるという安倍政権の戦争推進政策を問うという争点隠しに終始した。
  安倍首相は、13年の参議院選挙、14年の衆議院選挙でも、アベノミクスや消費税を争点にする同様のやり方をくり返してきた。しかし、選挙が終われば、「特定秘密保護法」や集団的自衛権容認の閣議決定、「戦争法」など、民意を無視した暴挙を強行してきたのである。
  今回の選挙結果は、追加公認による自民党の単独過半数と改憲勢力の3分2の議席、という厳しいものとなった。民進党は、かつての民主党政権にたいする批判がまだ影響している。3年前の17議席を上回る32議席を獲得したが、公示前の62議席からは大きく後退した。社民党も同様に比例区で前回より票を増やしたが、吉田忠智・党首が落選し、1議席にとどまった。
  また、今回の選挙から、18歳以上の選挙権が実現した。全体の投票率は54・7%で、前回より2ポイント増であったが、過去4番目の低投票率で、注目された18、19歳の投票率は45・45%で、全体の投票率を下回った。こうした低投票率も大きな課題だ。1票の投票行動では何も変わらない、投票したい人がいない、などの報道もあったが、身近な生活と政治の接点をきちんと伝えることが重要だ。少なくとも、選挙を通じた政治の変革には、異体的な一人ひとりの投票行動が必要だ。沖縄での現職大臣を落選させた選挙戦でも、辺野古新基地建設反対などの大きな県民の闘いが原動力になっている。与野党国会議員の議席数や政治情勢の分析も必要だが、部落解放運動と政治の向き合い方もしっかりと総括しなければならない。

 安倍首相は記者会見で、アベノミクスが評価され、さらに経済政策に力を入れていくとしているが、株価だけを指層に好景気を演出しても、実体経済は冷え込んだままだ。実質賃金も低下を続け、社会保障費の削減、労働法制の改悪もすすんでいる。
  何よりも、参議院選直前に、来年4月に予定していた消費税率10%の再増税を「新しい判断」という詭弁で、19年10月まで2年半の先送りを発表したことが示すように、増税できる経済成長を実現できなかったアベノミクスの破綻は明らかである。にもかかわらず、このアベノミクスを加速させるとして、今回の参議院選挙では、憲法改悪を争点からあえて外して改憲勢力を伸長させてきた。
  早くも選挙後の記者会見で、安倍首相は憲法審査会の議論促進を強調している。しかも、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射や中国の南シナ海の領有権問題などで、軍事的緊張が高まっているとして、「戦争法」の必要性を強調しているが、安倍政権のめざす憲法改悪は、自民党改憲草案にあるように、まさに戦前回帰の時代錯誤の内容である。とくに第1条で天皇は「日本国の元首」と明記し、第9条の2で国防軍を創設するとしている。まさに戦争推進に向けた富国強兵をすすめ、そのための緊急事態法制による人権の制限もある。こうした憲法改悪を許してはならない。今回の選挙で改憲勢力は3分の2をこえたものの、「戦争法」廃止に向けた全国的運動は継続的に粘り強くとりくまれている。しかもこの闘いは、辺野古新基地建設反対、反原発、格差と貧困問題の解決、反ヘイト、性的少数者の人権など、多くの課題とつながり、結びついて、とりくみの裾野を拡げている。
  厳しい情勢であるが、安倍政権がすすめる「戦争のできる国」づくりを許してはならない。秋の臨時国会では、継続審議になっている「部落差別解消推進法」の審議もはじまる。差別と戦争に反対する闘いを強化し、部落解放・人権政策確立に向けた政治勢力を大きく結集するために、協働のとりくみを前進させよう。


 

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