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「下山鑑定」の提出をふまえ、狭山再審を求め10.28狭山市民集会に結集しよう

「解放新聞」(2016.09.12-2778)

 狭山第3次再審闘争は、「石川さん宅から発見された万年筆は、被害者の持っていたものでない」という決定的な新証拠、下山鑑定の提出で重大な局面をむかえた。部落解放同盟と部落解放中央共闘会議、狭山事件の再審を求める市民の会は、10月28日、東京・日比谷野外音楽堂で「10・28狭山事件の再審を求める市民集会」をひらく。全国からこの集会に参加しよう。下山鑑定を武器に、今度こそ証拠の全面開示と事実調べをかちとって再審開始を実現しよう。
  下山鑑定は石川さんの無実を証明する決定的な新証拠だ。弁護団は、8月22日に万年筆のインクに関連して、デンマテリアル叶F材研究所の下山進・博士(吉備国際大学前副学長)の鑑定書を提出した。この鑑定書は、一口にいえば、証拠とされてきた万年筆が「被害者のものではない」ことを科学的に明らかにしたものだ。
  狭山事件では、これまで被害者の所持品である万年筆が石川さんの自白どおり自宅のカモイから発見され、これが犯人であることを示す決定的な証拠とされてきた。発見された万年筆については、起訴後に科学警察研究所の荏原秀介技官がおこなった鑑定(荏原第1鑑定)で、発見万年筆のインクが、被害者が使っていたインク瓶や被害者の日記の文字のインクと異なるという鑑定結果が出ていた。しかし、控訴審、上告審ではこの鑑定は証拠として調べられず、石川さん宅から発見された万年筆は被害者のものとして有罪判決が確定した。
  その後、弁護団は再審請求で、荏原鑑定や被害者の日記、事件当日に書いたペン習字浄書などを新証拠として提出し、インクの違いは万年筆が被害者のものではないことを示すものだと主張した。しかし、第1次、第2次再審請求の棄却決定は、発見万年筆のインクが、被害者の級友のインクや狭山郵便局のカウンター備え付けのインクと「類似する」という荏原技官の追加鑑定(荏原第2鑑定)を持ち出して、被害者が当日、級友のインクあるいは下校時に立ち寄った郵便局でカウンター備え付けインク(ともにブルーブラックインク)を入れた可能性があるとして棄却した。
  第3次再審では、裁判所の証拠開示勧告にもとづいて、2013年7月に被害者のインク瓶が証拠開示され、はじめて弁護団は写真撮影をおこなうことができた。ここでも証拠開示が重要な役割をはたしている。弁護団がこの写真もとに調査をすすめたところ、被害者が使っていたインクは、従来その色から「ライトブルー」とよばれていたが、当時販売されていた「ジェットブルー」という商品名のインクであることをつきとめた。
  今回、下山鑑定人は、ブルーブラックとジェットブルーのインクの違いをもとに、実証的に荏原鑑定を精査・検証した。その結果、石川さん宅から発見された万年筆には、ジェットブルーインクは微量も混じっておらず、ブルーブラックインクのみであったことが明らかになった。これはどういうことを意味するのか。発見万年筆は被害者のものではないこと、つまり誰かがねつ造したということを明らかにした。それだけではない、被害者を殺害したあと、万年筆を奪って自宅に持ち帰り、お勝手の入り口に置いていたという狭山事件の根幹となる石川さんの自白そのものを崩す決定的な事実を明らかにした。

 そもそも証拠の万年筆発見の経過には、大きな疑問がもたれてきた。石川さんが逮捕された5月23日、再逮捕の翌日の6月18日と、それぞれ十数人の刑事が2時間以上かけておこなった家宅捜索では発見されなかった万年筆が、3回目の捜索(6月26日)で数人の刑事がわずか24分で発見した。発見場所のお勝手入り口のカモイは高さ175.9センチ、奥行き8.5センチしかなく、ベテラン刑事らが家宅捜索で見落とすはずがない。万年筆発見のもととなった石川さんの書いた略図にも改ざんの疑いが明らかになっている。
  また、石川さんの家から発見された万年筆が被害者のものであることを客観的に裏付ける証拠もまったく存在しない。有罪判決は、被害者の兄の「書き具合が似ている」というあいまいな証言などをあげているだけだ。また、被害者の万年筆に級友のインクや狭山郵便局のインクを被害者が補充したということも誰かがみていたわけでもなく、なんら客観的に裏付けられたものではない。このように万年筆発見は疑問だらけだった。それにくわえ、今回の下山鑑定が提出されたのだ。
  下山鑑定の大きな特徴は、当時の科警研の検査結果という動かせない事実から、証拠万年筆に被害者のインクの痕跡がないことを明らかにしていること、つまり検察側の資料そのものが新証拠になっている点だ。

 中央本部は取り調べのようすを証拠開示されたテープ録音をもとに再現したDVDを作成し、9月8日の狭山全国活動者会議で試写会をひらき、全国で活用をよびかけた。
  この取り調べの再現ドラマは、2010年に証拠開示された取り調べの録音テープをもとに取り調べのようすを忠実に再現したものだ。取り調べの録音テープでは、@石川さんが事件のことを何も知らないことA字が読めない、書けないことB自白調書が取調官の誘導によってつくられたものであること、が浮き彫りになった。そこで狭山闘争本部は、取り調べのようすを忠実に再現することを計画し、6月から準備をすすめてきた。取り調べ録音テープの再現ドラマは、石川さんの無実を映像によって明らかにする強力な宣伝材料だ。ぜひ全国各地で上映会をひらき、狭山事件の支援運動を広げよう。
  下山鑑定は、狭山事件の確定有罪判決を突き崩す決定的新証拠だ。下山鑑定による万年筆のでっちあげの暴露でいよいよ大詰めをむかえた。東京高裁はすみやかに下山鑑定人の尋問など事実調べをおこない、狭山事件の再審を開始すべきだ。全国各地でDVDや下山鑑定の学習会をひらき、狭山再審闘争への支援をよびかけよう。また、鑑定人尋問と事実調べを求める署名運動、要請ハガキ運動をすすめよう。10月28日の狭山事件の再審を求める市民集会(東京・日比谷野音)に多くの市民の結集をよびかけ、狭山事件の再審を実現しよう。


 

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