NEWS & 主張
被差別の立場に立った行政に
北陸行動で課題を顕在化して
「解放新聞」(2016.11.21-2787)

北陸ブロックが中央本部(池田、高橋両中執、近隣の県連とともにとりくんだ北陸行動(10月21日、11月1日)での交渉の要旨を紹介する。

公正採用選考の実態で
石川労働局交渉
  石川労働局交渉は10月31日午前、金沢駅西合同庁舎でおこなった。公正採用選考人権啓発推進員の設置状況の説明を求めるとともに業種ごとの設置についても現状を確認。公正採用選考をテーマとした研修会への参加と選考試験での違反事業所の推移も確認しながら意見交換をおこなった。
  推進員設置状況については30人未満の事業所(2003年から設置開始)で1.7%。30〜100人未満の事業所で79%(3月末時点)と報告。内訳ではとくに医療、福祉の事業所の30〜100人の事業所のうち36.4%が推進員未設置であることが明らかになった。労働局は社会福祉協議会などを通じて設置に向けて働きかけをおこなっている、と報告。これにたいし、社協の研修会のなかで公正採用選考をテーマにした学習を盛り込むことや市がそれぞれの法人に要請をおこなうよう求めた。また推進員の研修会についても未設置事業所の件数と照らしあわせながら、推進員の位置づけについても精査をすべき、と訴えた。採用試験で違反した事業所のうち8割が「家族構成や家族の職業など」を聞いており(2015年度)、過去2年間で違反をおこなった事業所で不採用となった生徒は12人と明らかになった。該当の事業所でどのような違反がおこなわれたかということについても情報提供を求めるとともに、公正採用選考の目的についてあらためて認識をもちながら今後も情報交換をおこなっていくことを確認した。
  交渉には北陸ブロック、山下敬太郎・福井県連委員長、長谷川均・新潟県連委員長など6人が参加。労働局からは職業安定部職業安定課の前茂一・課長ほか5人が参加した。

教育実践の現状を確認
金沢市交渉
 金沢市交渉を10月31日午後、市役所内でひらいた。
  おもに、同和行政の部落問題に関する基本姿勢に関して人権啓発・人権教育の充実・啓発、部落問題にかかわる教育実践の現状を確認するとともに、戸籍謄本等の不正取得事件に関連し、事前登録型本人通知制度についても報告を受け、意見交換をおこなった。
  「人権問題に関する市民意識調査」(2011年実施)では同和問題を身近な問題と感じる人は12.4%であり、市がおこなう人権出前講座への要望としてもほかと比べて少ないことから、自分事として捉える啓発・教育の実施を求めた。学校教育の現場では中学校ですべて、小学校で98%が実施と報告。これにたいし、部落問題に関する記述がきわめて少ない育鵬社版教科書使用がはじまっている情況に、他社の教科書などを活用し、きめ細かに学習をおこなうよう周知を要請した。また行政の管理職級への研修についても学校現場と同様の実施を求めた。
  事前登録型本人通知制度への制度見直しについては、過去1年、不正事案はなかったとしながら、昨年の交渉時と同様に国や都府県の動向をみて考査する、とした。これにたいして市民の人権や命を守る行政としての責任ある姿勢を要請。「同和地区問い合わせ」についても市人権同和対策連絡会議で対応を共有と報告されたが、庁内でのマニュアル作成を通じて職員の意識づけにつなげてほしい、と強く要望した。
  交渉には労働局交渉に参加したメンバーのほか、市同和教育研究協議会からも参加。市からは丸口邦雄・副市長はじめ14人が参加した。

差別の実態直視し政策づくりを

意識調査の分析求める
石川県交渉
 石川県交渉は11月1日午後、県庁でとりくんだ。
  「全国部落調査」復刻版出版事件への見解を求めるとともに、県としての部落問題、人権課題にたいする姿勢を確認し、啓発冊子の記載文について、また事前登録型本人通知制度導入の要望と、同和地区問い合わせ問題についても体制づくりを要望、意見交換をおこなった。
  「全国部落調査」については7月に申し入れをおこなっていながらいまだに未回答という姿勢を指摘。県は「悪質な差別図書であり許されない」とし、情報収集や市町での情報共有に務めている、と回答しながらも、国など関係省庁への要請に関しては「全国事案なので注視する」との回答をくり返した。これにたいし回答は「県は当事者ではない」という考えの表れであり、つねにインターネットを中心として差別情報がばらまかれている実態に目を向けず、むしろ差別を容認する姿勢だと強く指弾した。関連して、県民意識調査の微増という乏しい根拠をもとに啓発・教育などのとりくみによって同和問題への関心が高まってきているとする県の認識にたいして、よりきめ細かな分析を要望。市町の人権啓発基本計画については昨年の首長要請の成果として1市1町で計画策定へとりくみが開始されたことが報告された。
  意識調査の分析では若年層の部落問題認識に関して差別意識の低さを生活の厳しさと無理やり関連づけて分析をおこなうなど本来の調査の分析として正確さや細やかさに欠けた手法を指摘し、調査方法そのものの整理を求めた。
  本人通知制度については市町に事前登録型導入を薦めることはできないとの回答に終始し、情報収集をすすめていくとした。
  交渉には2中執ほか5人が参知。県からは藤崎雄二郎・総務部長はじめ12人が参加した。

「張り紙」放置は差別の放置
富山県交渉
 富山県交渉は11月1日午前、富山県民会館でおこなった。5月に発覚した富山市内での差別張り紙事件についての経過、とやまマリッジサポートセンター運用について、また、県内200をこえる地区が掲載された 「全国部落調査」復刻版出版事件などについての見解を求め、意見交換をおこなった。
  差別張り紙事件は、9月の取り外しまで張っていた民家の家主への啓発がおこなわれていないと回答。県としての対応は不可能だったと答え、他庁へ「丸投げ」ともとれる対処が明らかになった。また通学路であったのに周辺の生徒をふくめた子どもたちへの影響についても「考えていなかった」という回答に終始。それだけではなく、張り紙掲示期間中に法務局を通じ家主ではなく周辺住民への啓発を予定していた、という論外の報告も飛び出した。県の対応は「差別の放置」そのものであり、張り紙撤去の経緯、周辺住民、通学生徒への啓発・教育についても部落差別の認識のもとにとりくみ、この事件の教訓化を要望した。
  これまで再三要請してきたマリッジサポートセンター問題については、公正採用選考で違反質問とされてきた事柄を行政が「結婚のため、出会いのため」として聞いてもいいのか、と問題提起。担当者の「少子化の解消」という言葉をもちいた回答にたいし、制度設計への人権意識欠落を指摘した。
  「全国部落調査」については、県内200か所の地名が書かれている当事者としての見解を早急に示すよう要望した。
  交渉には中執ら5人が、県からは車谷市朗・生活環境文化部次長はじめ19人が参加した。


 

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