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第3回口頭弁論に向けて「全国部落調査」復刻版糾弾の闘いを全国に広げよう

「解放新聞」(2016.11.28-2788)

 鳥取ループ「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の第3回口頭弁論が12月12日に東京地裁でひらかれる。裁判に向けて「全国部落調査」復刻版糾弾の闘いをいっそう強化し、口頭弁論に全国から結集しよう。
  前回の口頭弁論(9月26日)では、弁護団が鳥取ループの提出した準備書面を徹底的に批判するとともに、「全国部落調査」復刻版出版の差別性をあらためて弾劾した。
  河村健夫・弁護士は、鳥取ループが「被差別部落の定義が定まっていないから権利侵害はない」と主張していることにたいして、「今回の訴訟は、「被差別部落」などの定義をめぐって議論する場ではない。被告がおこなった「個人情報をさらす」「被差別部落の所在地情報をネットや書籍で公開する」という悪質極まりない行為の違法性を問う場である」と批判した。また、河村弁護士は「被告らは、「復刻・全国部落調査」は、「そもそも存在していない」といいながら、みずから印刷製本した本を、横浜地裁相模原支部に証拠書類として提出していた。事実に反する虚偽の主張をし、裁判所をだまそうとしている」と批判し、行為は「絶対に許されない」と厳しく弾劾した。
  さらに山本志都・弁護士は、鳥取ループが「部落の所在地はこれまでの出版物等でも公開されてきた」として、1897~2003年までの行政文書や部落史などの資料14点を証拠として提出し、「これらの書籍には被差別部落の地名が書かれているのに、自分たちの行為の何がいけないのか」という主張に、14点の資料は、研究や調査などで必要な限りで地区名を記載しているのであって、部落の地名を「被差別部落はどこか」という観点から公衆に示したものではない。証拠として提出された書籍と「全国部落調査は、まったく性質が違うものだ。「復刻・全国部落調査」は、鳥取ループの宣伝どおり、全国5300か所以上の部落名、住所、戸数、職業、生活程度の情報を「網羅的」に羅列し、「コンパクトに扱いやすく」「読みやすく」「現在の地名を掲載」したもので、被差別部落をさらし、差別を助長・拡散させるものであると厳しく批判した。

 今回の事件で横浜地裁は出版差し止めの仮処分決定(3月28日)を出し、横浜地裁相模原支部はインターネットへの掲載を削除するよう仮処分決定(4月18日)を出した。しかし、鳥取ループは反省するどころか挑発的な態度をさらにエスカレートさせている。たとえば、8月3日に東京地裁に提出した鳥取ループの準備書面には「「全国部落調査」がインターネットで拡散され、回収不能になることは、被告鳥取ループが望むことである。これが「ふと湧いてでた〝いたずら心″」などと思うのは、あまりにも甘い考えである」などと挑戦的なことを書いている。これは、鳥取ループがブログのなかで(復刻版の)出版を考えたのは、「ふと湧いて出た〝いたずら心″」であると書き込んでいることを弁護団が取りあげたことにたいする鳥取ループの対応であるが、当初「いたずら心」といっていたものを「本心だ」というように言葉をエスカレートさせている。また、10月17日のツイッターには「全国部落調査の発禁が解除されたら、今度は本格的にバンバン売って金儲けしますよ。それによってアホが憤怒して発狂することを含めて表現であり、アートなので」などと投稿。部落民が「憤怒して発狂すること」を期待しているがごとき理性をかなぐり捨てた挑発的な言辞を並べるようになった。

 部落差別が現存するなか鳥取ループの行為は、部落差別を助長・煽動する許しがたい差別行為そのものである。2011年に発覚したプライム事件では、探偵社が職務上請求書を偽造印刷して身元調査をしていた実態が浮き彫りになったが、主謀者の一人は「お客さんの依頼は、結婚相手が同和地区かどうかの身元調査だった」と説明した。各地の人権意識調査でも、1割近くが「身元調査は当然」と回答している。このような現状を考えれば、被差別部落の所在地一覧表を本にして販売することは、文字どおり身元調査とそれにもとづいた結婚差別や就職差別を煽動する許しがたい差別行為にほかならない。
  それだけではなく、同和問題を解決するための行政や企業、宗教団体、労働組合でのさまざまなとりくみの成果を台無しにする許しがたい行為であり、解放運動を冒とくする行為そのものである。被差別部落を暴くことで、そこに暮らす住民にたいする差別意識が煽られ、就職差別や結婚差別を受ける危険性が増幅することは眼に見えている。

 「全国部落調査」復刻版を出版しようとする鳥取ループを徹底的に糾弾しよう。そのための闘いを各地ですすめよう。
  一つは、人権侵犯事件を取り扱う法務省・地方法務局の行政責任の追及である。ところが法務省は、鳥取ループの首謀者本人へ「説示」文を一枚突きつけただけで、あとは高みの見物を決め込んでいる。法務省がその気になればプロバイダーに強力に働きかけて鳥取ループの差別情報を削除させることができるはずだ。一日も早く削除させるよう法務省、地方法務局に強く働きかけよう。
  二つめは、地方自治体や関係団体への働きかけだ。この裁判にたいして「行政は中立だ」といったところがあるが、行政も高みの見物を決め込んでいないか。戦前の調査とはいえ、「全国部落調査」はもともと地方自治体が調査した情報である。行政が集めた情報が差別情報として悪用されているという意味で、また地元の住民が差別にさらされているという意味では行政も当事者である。行政は当事者意識をもってこの闘いに協力すべきだ。
  この裁判は、「解放同盟vs鳥取ループ」の裁判ではない。ループの所業は戦後70年間、部落差別をなくそうととりくんできた行政や学校、企業、宗教団体への挑戦でもある。行政はもとより企業や宗教団体、労働組合などの関係団体が毅然として立ちあがり、復刻版の出版を許さない社会的な包囲網を築くことが必要だ。
  三つめは、復刻版の出版を許さないために「部落差別解消推進法」の早期制定を実現することだ。法案は、被差別部落の所在地情報の復刻を直接的に禁止したものではないが、「部落差別は許されないものである」(第1条)と謳った法の精神からして、裁判でも重要な意味をもつ法律である。ふり返って考えれば、部落差別を社会悪とする法律がないことが鳥取ループの蠢動(しゅんどう)を許すことにもつながっている。鳥取ループを糾弾し、復刻版出版を許さないために「部落差別解消推進法」の制定に全力でとりくもう。


 

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