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裁判闘争を闘う「リバティ おおさか」を積極的に支援しよう

「解放新聞」(2017.02.20-2799)

 日本で唯一の〝人権に関する総合博物館″であるリバティおおさか(大阪人権博物館)が、その存続に向けて大阪市との裁判闘争を闘っている。2015年7月、大阪市は建物の撤去と使用する市有の土地の返還を求めてリバティおおさかを不当にも提訴し、10月から現在まで7回の口頭弁論がひらかれた。
  被告となったリバティおおさかは裁判にさいし、①大阪市が求める建物の撤去と土地の返還は、リバティおおさかの廃館を意図したものであり、土地が地元の部落住民によって大阪市に寄贈されたという歴史的経緯を無視したものである②提訴はリバティおおさかの存在意義と社会的役割を否定し、大阪市がはたすべき人権行政にたいする責任を放棄したものである③リバティおおさかは被告であるが、問われているのは差別の撤廃と人権行政を推進する責任を負っている原告の大阪市である、との基本姿勢で臨んできた。
  これにたいして原告の大阪市は、①リバティおおさかが使用する土地は大阪市の財産であり、土地の歴史的経緯はまったく関係なく、建物の撤去と土地の返還は当然である②大阪市は2013年度からリバティおおさかに補助金を支出するだけの公益性がないと判断し、その延長に今回の提訴がある③1985年の開館から社会情勢は大きく変化し、リバティおおさかにたいして土地の無償使用を永続的に認める法的な義務は存在しない、と主張してきた。しかし、このような大阪市の主張は7回にわたる口頭弁論によって破綻が明らかとなっている。
  裁判の発端は、2008年9月の橋下徹・大阪府知事(当時)のリバティおおさかへの視察にまでさかのぼる。視察を終えた橋下知事は、「教育現場のニーズに応えるような展示内容に変更しないと、補助金を継続しない」とのべた。その展示の変更とは、被差別当事者の差別への抵抗の歴史を除去することであった。しかしリバティおおさかは補助金の継続のため、差別と人権に関する最低限の内容を残して常設展示を変更することにした。この変更した展示内容を橋下知事も了承し、リバティおおさかは2011年12月から新たな常設展示で再出発した。
  しかし2012年4月、橋下大阪市長(当時)は松井一郎・大阪府知事とともに、ふたたびリバティおおさかを視察し、「差別や人権に特化され、子どもが夢や希望を持てる内容ではなく、私の価値観に合わない」とみずから了承した展示内容を否定するにいたった。そして2013年度から大阪市は大阪府とともに補助金を廃止し、リバティおおさかは厳しい自主運営を強いられることになった。また橋下市長は2015年度からは土地の無償使用も停止するとし、今回の提訴へとつながっていった。
  リバティおおさかは1985年の開館から今日まで、被差別部落をはじめ在日コリアン、女性、障害者、アイヌ民族、沖縄、ハンセン病回復者、性的少数者(LGBT)、公害被害者、薬害被害者などにたいする差別を重視し、その資料の収集・保管、調査・研究、展示・公開することによって、日本社会にさまざまな差別が存在し、その解決のために人権意識の伸長が必要であることを訴えてきた。国内外からの総利用者は160万人にもおよび、人権意識を高める人権教育と人権啓発にたいしても重要な役割をはたしてきた。
  とりわけ2013年度から補助金が廃止されたことにより、リバティおおさかは経費を大幅に削減し、新たに賛助会員(サポーター)と寄付金(スポンサー)を獲得することによって、厳しい自主運営の道を歩むことになった。そして被差別当事者との連携をこれまで以上に密にし、共催によって差別と人権に関する特別展や企画展など、さまざまな事業をおこなってきた。リバティおおさかが被差別当事者と連携しながら展示事業などで役割をはたし、自主運営によって存続していることは、差別問題を解決して人権を確立させるうえで大きな意味をもっている。
  今回の大阪市による提訴はリバティおおさかを廃館に追い込もうとするだけでなく、時代の流れに逆行して人権行政にたいする責任さえ放棄しようとするものである。そしてこのことは、現在の日本の政治では極端な右傾化と排外主義的なナショナリズムが横行するとともに、グローバル化と連動した新自由主義によって格差社会と社会的排除が進行し、差別問題の解決と人権の確立に大きな影を落としていることと深く関係している。その意味で、リバティおおさかの裁判闘争はリバティおおさかを存続させるというだけでなく、大阪市をはじめとした地方自治体や国の人権行政の後退に対抗する重要な役割をもっている。

 昨年の4月から「障害者差別解消法」、6月からは「ヘイトスピーチ解消法」、12月には「部落差別解消推進法」が施行され、それぞれには問題点が指摘されながらも、差別問題の解決と人権の確立にはたす役割が期待されている。これらの個別的な法律とともに包括的な「人種差別撤廃条約」や「人権教育・啓発推進法」などをふまえて、あらためて国や地方自治体が法を遵守して責任をはたすべき役割が問われているが、とくに大阪市で大きな試金石となるのがリバティおおさかと人権行政にたいする姿勢である。
  部落解放同盟は当初からリバティおおさかの存在意義と社会的役割を重視し、1997年からは全国大会で、リバティおおさかだけでなく水平社博物館と多くの人権関係博物館・資料館や人権センターなどが加盟する人権資料・展示全国ネットワーク(人権ネット)との連携も確認してきた。そして2013年度からのリバティおおさかの自主運営には、賛助会員や寄付金などに関して協力を惜しまなかった。今後とも、部落解放同盟はリバティおおさかの裁判闘争と自主運営を積極的に支援し、リバティおおさかが存続するよう全面的に協力する決意であり、各都府県連・支部と共闘団体などでも支援と協力に万全を期すよう強く訴えるものである。


 

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