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共同闘争を強め、「共謀罪」、原発再稼働、憲法改悪など政権の暴走を阻止しよう

「解放新聞」(2017.03.13-2802)

 安倍政権が今国会で最重要と位置づけるのが「共謀罪」。複数の人間が「犯罪」を計画した段階で逮捕ができるという恐ろしい法律で、これまで3回、国会に提出されたが、いずれも廃案になってきた。その「共謀罪」を表紙だけ「テロ等準備罪」とかえ、安倍首相はこの法案がなければ東京オリンピックは開催できない、と主張している。しかし、野党議員の質問にたいし金田法相はまともに答弁することができず、問題点もつぎつぎと明らかになっている。
  「共謀罪」や「テロ等準備罪」が提出された背景は、「国際組織犯罪防止条約」を批准するために必要だとされている。この条約は、もともとマフィアなど経済的利益を目的とする組織犯罪を対象にしていたが、2001年のアメリカ同時多発テロを契機に、テロ対策のために利用しようとする動きがでてきた。しかし、この条約の目的は、国際的な組織犯罪防止であり、テロ対策とは直接関係ない。しかも、政府がこれまで提案してきた共謀罪の規定は、長期4年以上の懲役・禁固等を定める600をこえる罪を対象としており、市民の思想・言論が侵害される恐れがある。
  政府は共謀罪を成立させなければ、この条約を批准できないと説明しているが、日弁連の調査では、条約を批准した各国ともその国の法制度ですでに条約を満たしているか、多少の法整備をするなどして批准している国がほとんどであることが明らかになっている。そして最大の問題は、犯罪の成立範囲があいまいであり、当局による恣意的な適用を認め、えん罪を生むおそれがあるという点にある。戦前の治安維持法が、労働運動、社会運動を弾圧してきた歴史をふり返れば、この法案が成立すると、捜査機関による恣意的な運用によって私たち市民の人権が脅かされる恐れがある。幅広い市民運動で成立を阻止しよう。

 過去の侵略戦争と植民地支配の反省から「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやう」誓った日本国憲法が、安倍政権のもとでいよいよ戦争ができる国へと大きく変えられようとしている。2012年の自民党の憲法改正草案の発表にはじまり、特定秘密保護法の制定や憲法違反の集団的自衛権行使を容認する戦争法の強行成立。そして、先の参議院選挙により改憲勢力が3分の2を占めるなど、憲法審査会の開催と合わせて、安倍政権は9条もふくめた憲法を改悪しようとしており、きわめて危険な状況だ。自民党の憲法改正草案では現憲法の「侵すことのできない永久の権利」としての基本的人権が否定され、国民主権ではなく、「国があっての国民」へと変えられている。さらに、9条で謳われる「戦争放棄」は「安全保障」に置きかえられ、「国防軍」を創設し、集団的自衛権を全面的に認め、戦争ができる国をめざしている。
  政府は昨年11月15日の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法にもとづく「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」などができる新任務を付与する実施計画の変更を決定した。この新任務付与は武器使用基準の緩和と合わせ、事実上の内戦状態のなかで隊員らは武力行使をおこなうことになる。「殺し、殺される」現実がすぐそこまで近づいている。
  こうしたなか、昨年、国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問は、南スーダンで「民族間の暴力が激化し、集団殺害になる危険性がある」と警告。同時に反政府勢力も「和平合意と統一政権は崩壊した」と発言し、治安情勢はきわめて厳しい状況だということが明らかになった。しかし政府は、稲田防衛相の7時間、柴山首相補佐官の1日の現地視察で、治安情勢は「比較的落ち着いている」との判断を下し、現地でおきている銃撃戦は自衛隊の撤退が必要な「紛争」ではなく「衝突」だと強弁した。今国会でも、南スーダンの自衛隊による日報で、昨年7月の大規模な交戦を「戦闘」と明記していたにもかかわらず、稲田防衛相は頑として「衝突」といい換えてきただけでなく、「戦闘」としなかったのは「憲法9条上の問題になるから」と平然といいのけた。戦後日本は、平和憲法のもと、武器によって殺したり、殺されたりする事態を免れてきたが、今回の新任務付与によって海外での武力行使への道をひらくことが危惧される。私たちは、憲法改悪阻止、自衛隊の南スーダンからの即時撤退を求め、全国での闘いを強化しなければならない。

 福島原発事故から5年半が経過したが、いまだに12万人をこえる被災者が避難生活を余儀なくされ、子どもたちの甲状腺がん、原発労働者の被曝、中間貯蔵施設や避難住民の帰還と補償の打ち切りなど課題は山積している。そして、多くの国民は脱原発社会を求め、再生可能エネルギーへの転換を求めているにもかかわらず、政府はこうした声を無視して2015年8月11日の鹿児島県・川内原発に続き、翌年には、福井県・高浜原発や愛媛県・伊方原発を再稼働させた。
  さらに、現在、再稼働に向けて、原子力規制委員会で新規制基準にもとづいて21発電所28機の審査がおこなわれているが、このなかで、老朽原発を60年間継続運転しようと、もくろんでいる。安倍政権は、2030年度の電力供給での原発比率を20〜22%にする計画を掲げるなど、脱原発社会を求める多くの国民の声を無視し、本格的に原発推進路線へ逆戻りしようとしている。一方、大津地裁による稼働中の高浜原発の運転差し止めの仮処分決定(昨年3月)など脱原発の動きが各地でではじめ、新潟県知事選挙(昨年10月)では、原発再稼働反対の声を背景に再稼働に慎重な米山隆一・候補が与党の原発推進の候補を約6万票の大差で破ったことも国民の脱原発の意志の表れだ。政府の原子力関係閣僚会議は2016年12月、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉を正式決定した。「夢の原子炉」と期待された高速増殖炉だったが、1兆円以上の事業費を投じながらあいつぐトラブルで幕を下ろした。一方で、使用済み核燃料の再利用を目指す核燃料サイクル政策は維持することも決定している。廃炉を契機に私たちはあらためて脱原発社会の実現に向けて、原発政策の抜本的な見直しを求めていかなければならない。

 こうした緊迫した情勢をふまえ、戦争・原発・貧困・差別といった課題にとりくむ諸団体・個人の総結集をかちとり、戦争法廃止など安倍政権の暴走阻止につなげていかなければならない。
  都府県連では、各地での諸集会と「戦争をさせない1000人委員会」「総がかり行動」のとりくみへの積極的な参加をよびかけるとともに、安倍政権の憲法破壊の攻撃と対決し、憲法の精神を確認し、憲法違反の戦争法廃止、「共謀罪」法案の成立阻止、原発再稼働の阻止へ闘い抜こう。


 

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