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NEWS & 主張

学びを深めていく〜浄土宗本願寺派と第6回協議
「旃陀羅」差別問題

「解放新聞」(2018.04.30-2857)

 【広島支局】 真宗教団が根本経典とする『観無量寿経』に刻まれた「旃陀羅」差別について、教団をあげてとりくみをはじめている真宗大谷派に続いて浄土真宗本願寺派が動きはじめた。だが、教学上で明らかにしなければならない課題も多く、現実の部落差別(人権問題)と真剣に向きあう教団になれるのか、期待と不安が交錯している。

 この課題を究明するための第6回協議が3月29日、京都市・西本願寺同朋センターでおこなわれ、浄土真宗本願寺派、中央本部、広島県連の関係者が出席した。

 冒頭にあいさつした川﨑卓志・県連委員長は、山階昭雄・総務が3月16日、広島県福山市を訪れ、小森龍邦・県連顧問に示した①「旃陀羅」問題のテキストを作成し、すべての教区と全国523の組などを対象に宗門全体で学びを深めていく②大谷派と連携して真宗連合に提起し全日本仏教会にも広げていく③部落解放同盟との協力関係をつくっていく、との方向性や決意にたいし、「広島県連として評価したい」とした。そのうえで浄土真宗本願寺派が過去5回の協議内容をまとめた「第6回教学に関する学習会における回答」については、「極めて不十分」と指摘した。

 差別事件をはじめ、女性差別、障害者差別など、さまざまな問題が議論であがったが、とくに「旃陀羅」をめぐっては、①僧侶のなかに浸透していた深刻な「旃陀羅」差別の受けとめ(安芸教区の寺院で見つかった1908年の「檀家千六百三戸 内七拾二戸旃陀羅」の記述)②経典『観経』ができたいわれと日本に伝わった経緯をどう考えるか③「回答」で「親鸞聖人が「阿闍世に投げかけられた「旃陀羅」の言葉こそは、自己自身に投げかけられた言葉と受け止められた」としていることは解釈に無理があり、「旃陀羅」差別の肯定となる④「旃陀羅は日本の穢多のこと」と説いてきたことは部落差別のみならずインドの被差別カーストへの差別であり、人間平等の希望を見出して仏教に集団改宗した人たちの前で『観経』が読めるのか、などと指摘した。

 山階総務は「10年、20年後の僧侶養成を視野に、一部のみではなく全宗門あげて学びを深めていく、そのためのカリキュラム、プロジェクトをつくりたい」とのべた。

差別性語れる僧侶をつくることが課題に

 小森顧問は「評価する。ぜひ実行してほしい」とのべた。最後に西島書記長が「お経(「旃陀羅」部分)を読まない、差別性を語れる僧侶をどれほどつくっていくかが課題。補註の改訂版もこれを機にやってほしい。中央本部としてはそれぞれの都府県連で学習し、各教区と協議の場をつくっていきたい」とまとめた。

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