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8・15、敗戦から73年、反戦・平和のとりくみの強化を

「解放新聞」(2018.07.30-2869)

 昨年の7月、核兵器を非合法化する核兵器禁止条約が、国連で採択された。また、昨年のノーベル平和賞は、国際NGO核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が受賞した。ICANは、核兵器の開発や使用などを法的に禁じる「核兵器禁止条約」の国連での採択に貢献したことが評価された。ノーベル委員会の代表者は、「核兵器の問題は政府や専門家らだけの問題ではない。ICANは一般の人たちを新たに関与させていくことに成功した」とし、「核なき世界の実現への運動に新たな方向性と活力を与えた」とたたえた。

 しかし核保有国のほか、核兵器はもたなくても他国の「核の傘」の下にある日本などの国ぐにが核兵器禁止条約には反対している。

 広島、長崎の被爆者が見守るなか、受賞式の記念講演で、ICANの代表者は、世界にいまも1万5千発もの核弾頭があることに触れ、「この事実が非道であるがゆえに、多くの人びとは残酷な現実をただ受け入れてしまっているようだ」と指摘したうえで、ICANの活動を「私たちの選択こそが、唯一、可能な現実だ」と強調した。そして核兵器がある限り、突発的に使用される可能性があることを危惧するとともに、核武装する9か国を名指しして核廃絶を求めたうえで、「核の傘」の下にある国ぐににも「他国を破壊することの共犯者となるのか」と問いかけた。また、「核兵器の終わりか、私たちの終わりか。どちらかを選ばなければならない」とのべ、すべての国に核兵器禁止条約への参加を求めた。

 核なき世界の実現に向けて、世界のなかで唯一の戦争被爆国である日本は、早期に核兵器禁止条約を批准し、核保有国に条約批准の働きかけを強め、核兵器廃絶運動の先頭に立たなければならない。

 6月12日、シンガポールで、史上初の米朝首脳会談が、ドナルド・トランプ・米大統領と朝鮮民主主義人民共和国(共和国)の金正恩朝鮮労働党委員長との間でおこなわれた。

 共同声明では、トランプ米大統領の共和国の安全保障の確約と、金正恩・朝鮮労働党委員長の朝鮮半島の完全な非核化への責務を再確認し①両国民の平和と繁栄を希求する意思に基づく新たな米朝関係の構築の約束②朝鮮半島の永続的かつ安定的な平和体制構築へ共同しての努力③板門店宣言を再確認し、共和国による朝鮮半島の完全な非核化にむけた努力④(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵の遺骨回収への努力、を確認した。今後、朝鮮半島の平和と北東アジアの平和の実現をめざさなければならない。

 朝鮮半島の両国は、朝鮮戦争の休戦状態を引きずり、長年にわたって対立してきた。朝鮮戦争を終結し、休戦協定を平和協定に変えることが、北東アジアの平和と安定につながることは間違いない。そのためには、中国政府、アメリカ政府の姿勢が重要であり、侵略戦争と植民地支配によって、朝鮮半島の南北分断の要因をつくった日本政府も、みずからの役割を自覚しなくてはならない。

 しかし、日本政府は、この間の共和国と韓国・中国・米国との外交交渉の蚊帳の外に置かれていた。トランプ米大統領の米朝会談は中止するとの発言に、即座に支持すると安倍首相は発言した。これまでも、制裁の継続を唯一訴え、政治的利用をしてきた姿勢では、日朝首脳会談がひらかれるはずもない。日本がいまだに国交をもたない近隣国は共和国だけであり、その関係正常化は戦後日本の最大の課題の一つである。米国との関係に寄りかかるだけの受け身の姿勢から脱し、朝鮮半島と北東アジアの安定と和平づくりを積極的に構想する外交力が問われている。今後は、国交正常化をはかり、戦後補償などの未解決課題にとりくみ、北東アジアの平和と非核化を実現しなければならない。

 安倍首相は、憲法9条を改悪する理由に、「わが国を巡る情勢はかつてないほどに緊迫している。第1は北朝鮮の核・ミサイル開発であり、第2は中国との緊張である。だから9条の改憲が必要である」とくり返し強調してきた。しかしいまは、「制裁、制裁」とくり返し叫んできた共和国と国交回復交渉をはじめ、あれほど嫌っていた中国とも協力せざるを得ない状況だ。

 安倍首相は朝鮮半島の現実を直視せずに、日本の平和憲法の根幹である憲法9条を改悪するために、共和国の核・ミサイル問題を利用してきた。こんな安倍首相に憲法9条を変えさせるわけにはいかない。

 これだけ朝鮮半島と北東アジアの情勢が変わり、日朝国交回復交渉をはじめるといいながら、いまだに、安倍首相は、「9条改憲を断念する」とはいわない。

 調子のいいときには煽り、ののしる。少し都合が悪くなれば沈黙し、追い詰められれば、詭弁や嘘でごまかす。これは森友や加計学園問題での国会答弁とまったく同じだ。

 また、安倍首相は「命を賭して任務を遂行している自衛隊員の正当性を明文化することは、わが国の安全の根幹にかかわることで、憲法改正の十分な理由になる」とも主張してきた。

 しかし、自衛隊員の服務宣誓文は「身をもって」であり、「命を賭して」ではない。憲法は、国家間の紛争をおこさず、武力による解決ではなく平和的手段で紛争を解決すること求めている。まさに一国の総理である安倍首相にこそ、「命を懸けて」日朝交渉を開始し、国民の命と安全、平和を守る第一義の責任がある。

 しかも、戦争法(安全保障関連法)など自衛隊の任務や活動範囲を拡大し、自衛隊員を危機に追い込みながら、「命を賭して」などという言葉を濫用する、安倍首相に憲法9条を変えさせてはならない。

 安倍首相は、現存する自衛隊を憲法に書き込むだけで、なんら変わらないといっているが、これはまったくの詭弁だ。変わらないなら憲法を変える必要はない。

 これまでの解釈改憲によって、自衛隊が発足し、集団的自衛権など自衛隊の活動範囲を拡大する安全保障関連法が成立したが、憲法9条で「交戦権」と「戦力の保持を禁止」しているために、自衛隊は戦力ではない実力組織だと位置づけられてきた。

 しかし、憲法に自衛隊が書き込まれると、戦力規定の歯止めを失い、その性格は一変し、財政統制も自衛隊にたいする歯止めがなくなり、徴兵制すら可能になる。

 戦後73年が経過しようとしている。私たちは、憲法9条によって、憲法前文に書かれている「政府の行為によつて再び戦争の惨禍」をおこさず、「自国のことのみに専念して他国を無視」することなく、国民の「安全と生存を保持」し、「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という憲法前文の理念を実現してきた。

 こうした状況のもと、8月4〜6日、被爆73周年原水爆禁止世界大会・ヒロシマ大会、8月7〜9日、被爆73周年原水爆禁止世界大会・ナガサキ大会が開催され、8月15日には敗戦から73年を迎える。

 私たちは、「戦争をさせない1000人委員会」や「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」に積極的に参加し、原発再稼働を許さず、脱原発とすべての核兵器廃絶にとりくみ、核と戦争のない平和な21世紀を実現しなければならない。そして、すべての市民と連帯し、「戦争法」廃止、憲法改悪阻止に向け、全力でとりくもう。


 

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