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主張

 

今年の闘いを総括し、部落解放運動の闘いをさらに前進させよう

「解放新聞」(2018.12.24-2888)

 「部落差別解消推進法」が公布、施行されて2年が経過した。この間、「部落差別解消推進法」の具体化に向けて、全国的な意思統一のもと、とりくみをすすめてきた。とくに兵庫県たつの市や加東市では、「部落差別解消推進法」をふまえた条例が制定され、ほかにも、宮崎県えびの市での人権条例をはじめ、福岡県小郡市、飯塚市、熊本県菊池市、大分県豊後大野市、玖珠町などでは、これまでの人権条例が部落差別撤廃という目的を明確にした条例に改正された。このように「部落差別解消推進法」の具体化をすすめるために、自治体での条例づくり、改正のとりくみがすすめられてきた。

 自治体でのとりくみをさらに推進するためには、財源確保の課題も重要である。部落問題解決のための相談体制の充実、教育・啓発の推進など、この間、「部落差別解消推進法」に明記されている自治体での施策にたいする交付税措置などについて、全国知事会や全国市長会、全国町村会にたいして政府要望にとり入れるように要請行動をすすめてきた。全国知事会など地方自治6団体は、要請行動を受けて、政府要望書に「部落差別解消推進法」制定をふまえた財政措置の充実を明記している。

 今後とも、行政交渉では、施策の推進を要求するとともに、自治体から国への要望を強めるように求めていこう。

 また、国が実施する部落差別に係る実態調査は、来年度の予定である。これまで、部落差別事件の集約だけでなく、生活実態からあらわれてくる部落差別についても調査し、今後の施策の内容、方向を策定できるように要請してきた。とくに、中央委員会などで調査項目を論議し、集約したものを提出するとともに、調査数なども全国の実態が明確になるように求めてきた。今後、自治体や教育委員会にたいする部落差別事象の照会も実施されることになっており、しっかりとした集約を報告するように、自治体にたいするとりくみを強めていこう。

 「部落差別解消推進法」は、部落差別が今日も厳しく存在しており、部落差別のない社会をめざして、国や自治体が必要な施策にとりくむことを明記している。その目的と基本理念は「部落差別は許されないという認識の下」に「部落差別のない社会を実現すること」にある。まさに、部落差別撤廃に向けた国の責任、自治体の責務を明確にしたものである。部落解放運動がこの「部落差別解消推進法」をふまえて、必要な事業を要求していくのは当然である。

 自治体でのとりくみは、全国で成果をあげているが、政府のとりくみは、いまだに旧来の施策を漫然とすすめている現状である。部落解放・人権政策確立要求中央集会での政府各省交渉を強化するために、交渉課題についてもしっかりと論議をしていこう。

 なお、こうした「部落差別解消推進法」をふまえたとりくみにたいして、「部落差別の固定化」などとして反対したり、「部落差別解消推進法」の具体化に消極的な姿勢がみられる。まさに、部落差別の現実と向き合えず、「何もしないのが問題解決」という無責任きわまりないものである。

 現実社会では、差別身元調査、土地差別問い合わせなどがおこり、インターネット上の部落差別情報が氾濫しており、鳥取ループ・示現舎のように公然と差別を煽動するなど、悪質な事件が多発している。「部落差別解消推進法」は、こうした現状認識をもとに制定されたものである。「部落差別解消推進法」の周知をふくめ、部落差別の現実を広く社会に訴えていくとりくみをすすめていこう。

 また、国連人種差別撤廃委員会の日本政府にたいする勧告でも、「部落差別解消推進法」制定後の、実効ある措置の報告が求められている。今後の課題として、勧告でも指摘されている国内人権委員会の設置に向けて、「ヘイトスピーチ解消法」や「障害者差別解消法」制定などの成果と課題を共有し、差別禁止をふくむ包括的な人権の法制度確立へのとりくみもさらに強化していかなければならない。

 狭山再審闘争では、弁護団の精力的な活動によって、石川一雄さんの無実を明らかにする新証拠が提出されてきた。とくに、「自白」によって発見された万年筆が、被害者のものではないとした「下山第1鑑定」「下山第2鑑定」、脅迫状は石川さんが書いたものではないとした「福江鑑定」が、新証拠として提出された。それぞれ科学的な手法で、石川さんの無実を明らかにしたものである。

 寺尾判決が石川さんを犯人とした根拠である万年筆と脅迫状に関し、新証拠によって、寺尾判決そのものの誤りが明らかになったのである。こうした新証拠は、三者協議をはじめ、粘り強い弁護団の活動によって開示された証拠をもとにしたものである。全国で新証拠の学習をすすめ、情宣活動にとりくみ、石川さんの無実を一人でも多くの人に訴えよう。東京高検などはいまなお多くの証拠を隠し、弁護団が求める証拠開示に応じていない。すべての証拠開示と事実調べを求めるとりくみを強めよう。

 今年は、石川さんをはじめ、袴田巖さん、菅家利和さん、桜井昌司さん、杉山卓男さん(故人)という、えん罪被害者の日常と闘いを描いたドキュメンタリー映画「獄友」の上映運動にもとりくんできた。狭山再審実現に向けた闘いは大きく拡がっている。

 狭山事件は部落差別にもとづくえん罪である。石川さんをいまだに「殺人犯」としてみえない手錠で縛り続けるものこそが部落差別である。差別とえん罪を許さない連帯・協働の力で狭山再審実現をかちとろう。

 このほか、男女平等社会実現に向けた組織内のとりくみを推進していくために、「部落差別解消推進法」具体化と狭山再審闘争の当面する課題とともに、具体的なセクハラ問題もふくめて、全国ブロック別中央解放学校で学習を深めてきた。

 「男女平等社会実現基本方針(第2次改訂)」を実効あるものにしていくために、組織内でのきめ細かい学習と実践が求められている。都府県連でも積極的にとりくみをすすめていこう。

 われわれは、こうした課題を中心に部落解放運動の闘いをすすめてきた。今日、安倍政権による憲法改悪策動が強まっている。新基地建設反対の知事を選んだ沖縄県民の民意を無視する名護市辺野古の土砂投入こそ、民主主義を破壊する安倍政権の本質そのものだ。「戦争をする国」づくりのために、軍事費を増大させる一方、「種子法」の廃止、「水道法」や「入国管理法」「漁業法」の改悪と生活保護費をはじめとした社会保障費の削減など、われわれのいのちと生活より、アメリカの要求と軍事大国化を優先させる安倍政権による反人権主義、国権主義の政治を許してはならない。

 悪質な差別事件や人権侵害は、社会的不満や不安をその背景にしながら、差別排外主義と結びつき、ヘイトスピーチのように、公然と差別と暴力を煽動している。他人を差別し、傷つけることで、少しばかりの、一瞬の自己肯定を手に入れることで、今日一日を満足するような社会のありようを変革していかなくてはならない。われわれは、差別撤廃を希求する多くの仲間たちとの連帯・協働を深め、このとりくみのなかで、大きな役割を果たすように奮闘しよう。

 部落解放運動は、全国水平社いらいの苦闘を継承し、差別-被差別からの解放をめざして闘いを続けてきた。われわれは、これまでの闘いを総括するなかで、戦争協力という痛苦の歴史への反省もふまえ、差別と戦争に反対する闘いを全力ですすめてきた。

 新しい年を勝利の年にするために、今年のわれわれの闘いの成果と課題を明確にし、新たな闘いの準備をすすめよう。

 

 

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