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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2090号/02.10.14

ナチ・ドイツと言語
-ヒトラー演説から民衆の悪夢まで-

宮田 光雄 著  岩波新書(定価740円)

書籍画像 「私が総理であればこんな問題(『部落解放基本法』制定)はとうの昔に解決しているんです。悲しいかな、私が総理でないばかりに……」。
 来ひんあいさつに盛りこまれたこの言葉に会場がドッとわいた中央集会があった。党や国会の状況など緊迫した内容がつづく「基本法」集会で、この言葉は奇妙な効果をもっていた。
 「言葉を用いて民衆の支持をとりつけたり誘導したりする政治過程は、デモクラシーの国であれ独裁的な国であれ変わりがない」。
 本書は「政治的言語を中心にして、ナチ・ドイツ社会の幾つかの側面に光を当て」た。ナチスの政治的言語やナチス支配体制強化のなかでの映像メディアや教育の言語、民衆が「地下」で語った政治的ジョークや就寝中の夢も掲載されている。
 悲しいかな、いま世界には人権・環境・平和をあざ笑うかのように独善的な世界政策にすすむブッシュ政権の姿があり、日本も国家主義的傾向を強めている。私たちはいまどんなジョークに笑っているだろう。(K・S)

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