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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2096号/02.11.25
 実にいい笑顔、表情をとらえている。撮影をする人と被写体の石川一雄さん、早智子さん、早智子さんの母親との信頼関係ができあがっていることがわかる
▼これは、OSAKA 「CINEMA塾」作品発表会(十一月九、十日・大阪)で「鬼塾長・原一男監督の指導に耐え、作品を作り上げた塾生卒業制作作品を一挙上映」で最初に感じたこと。狭山を取りあげた作品は「たらちね」とタイトルが付けられている
▼石川一雄さんが早朝の狭山を走るシーンから作品は始まる。語り合う一雄さんと早智子さん。各地で支援を訴えるシーンも登場する。しかし映画全体は闘争を描くのではなく、先の三人を中心に石川さんの母親への思いを描く。たらちね、と還されているゆえんだ
▼えん罪をはらすまでは、墓前に手を合わせない、との石川さんの決意が、兄の六造さん、連れ合いの早智子さんの証言とともにオーバーラップされる
▼とくに六造さんがあいつは馬鹿だよ、世間体も考えないで、親の前で手を合わさないというのは、と弟の一雄さんを非難しながら、頗や目が笑っているシーンはいい。弟の決意に応えてやりたい、という気持ちがにじみ出ている
▼早智子さんの故郷、徳島でのシーンもいい。できれば、一雄さんの釣りのシーンをもう少し生かしてほしかった
▼狭山をさまざまな観点から切る、一つの試みがこの映画だ。若い人たちの感性に一つの可能性を感じた。

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