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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2130号/03.07.28
 エンベッド取材とは、軍隊に帯同することだ。今回のイラク侵攻にさいして米国国防総省が600人の記者を帯同した。もともと、これはメディアの側からの要求だったが、米国はうまく使った
▼この取材過程などを書いた本がA紙から出ている。そのなかでは現場取材の重要性が説かれている
▼ところが読みすすめていくうちに、驚くべき場面が出てくる。米軍が「敵」に攻撃し、見事に命中すると、米兵とともに歓声を上げる場面である。もっとも、そのことを筆者は「中立であるジャーナリストであり、攻撃の成功を喜ぶべきでない…しかし、『やった』という感情は無意識のうちにわき上がった」と書く
▼米国の意図が見事に伝わっている。死者についても、仲良くなった米兵のことは大きく書いても、現実に確実に殺害されたイラクの人びとのことについての記述は少なく、死傷者の数の少なさだけが強調されている
▼なぜイラク民衆が米軍を攻撃するのか、あるいは貧困層が中心になっている米兵の階層構造など、想像力を働かせれば出版化にさいして書くべきことは山ほどあるはずだ
▼森前首相が長崎の少年の事件で両親が日教組の教育で育ったことが問題、だから教育基本法の「改正」が必要だと語った。誰が、「正義の戦争」では人殺しはいい、と説明し、希望のない、抑圧的な社会を作ったのか、少し考えればわかること。これもまた、大いなる想像力の欠如だ。

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