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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2183号/04.08.30

誇りと抵抗
権力政治を葬る道のり

アルンダディ・ロイ 著 加藤 洋子 訳  集英社新書(定価693円)

書籍画像 インド人女性作家の論文集。人権の抑圧に対抗し積極的に発言する彼女の姿勢は、米国の言語学者ノーム・チョムスキーからの影響がある。
 著書のなかで、チョムスキーが全世界に果たした貢献のひとつとして、「美しくも輝かしい“自由”なる言葉の裏にある、人心を惑わす醜く無情な世界を暴いてみせた」ことをあげている。彼女も、米国の圧力や現代インドの状況などの批判を、理性的、経験的に展開する。
 現代インド考察がすばらしい。ダリット虐殺と核実験、債務奴隷制とデジタル革命など「インド国民としてわたしたちは、両極端のものを常食として生きている」。インドでは「格差が常に身近にある」。「グローバリゼイションという目に見えない力によって自分の尊厳や未来を失う」。
 それを人類共通の理解へと橋渡しができるのは作家たちだとのべる。「見えないものを見えるようにする芸術、形のない敵を引っ張り出し、現実のものにする芸術」に挑戦すべきだ、と。「誇りと抵抗」のまなざしをもちつづけたい。 (謙)

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