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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2200号/04.12.27

多生きづらい(私)たち
心に穴があいている

香山 リカ 著  講談社現代新書(定価700円)

書籍画像 先日、友人から「知り合いに、相談にのったりして頼られていたのに、突然『私のことを何もわかってない』と怒りをぶつけられ、その後も無視されている」と相談された。その後、友人は気を取り直し、相手に「境界例」的な要素があるな、と分析し、納得していた。
 「境界例」とは精神医学用語で、社交的で明るく元気な人が、突然感情を爆発させたりするなどの極端な二重性や、自身も振り回される不安定な感情、圧倒的な無力感や絶望感、空虚感をもち、嫌われたくない、見捨てられまいと大変な努力をはらう。つねに「生きづらい」感覚を抱いていることをいう。
 著者も、病気まではいかなくても「境界例」的な要素をもつ若者が激増していると説く。そして「悪いことが起きたのは私のせい」「私を嫌いに違いない」という根拠のない思いこみなど心のゆがみに目を向け、それを修正する「認知療法」に、「生きる」ための希望の光を見る。
 「生きづらさ」を抱えて生きる若者の「今」を摘む1冊。  (謙)

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