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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2174号/04.06.21
 日本の植物学のパイオニア的存在が牧野富太郎。1862年、高知県生まれ。幼いときに両親を失うが、酒屋を親族が経営し、坊ちゃんとして育てられた
▼東京へ行くときの話がすごい。牧野とお付きと会計係の3人で旅をするのだ。裏山の草木を相手に遊び、東京大学の植物学教室へ出入りし、研究に没頭する生活が22歳から始まった
▼牧野の自伝で、どのように結婚したかという記述は1回だけ。しかも、いつの間にか子どもが10数人になったなどとひょうひょうと書く
▼とにかく植物採取と研究、東京大学の講師という生活スタイルを崩さない。生活全般は連れ合い任せ。そして何回も登場するのが当時の東京大学の教授たちの牧野への仕打ち。研究室に出入りさせない、研究の成果を自分たちだけで独占しようとするなどなど
▼自伝の最後に、娘さんが書いている文章がある。戦前、中国東北部に天皇のための桜の研究に喜んでいったこと。戦後、園遊会で皇居の植物の説明を天皇にして喜んだ話がでてくる
▼ひょうひょうとした牧野だが、ここにも天皇制が息づいていたのだ、と改めて感心した
▼最近、皇太子が連れ合いの雅子のことで、宮内庁を批判している。しかし、雅子がキャリアをいかして自己実現が図れない原因は、「お世継ぎ」の再生産、つまり、性そのものが政治となる、いびつな構造、天皇制そのものにあることを知るべきなのだ。

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