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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2281号/06.08.14

棗椰子の木陰で
第三世界フェミニズムと文学の力

岡 真理 著  青土社(定価2200円)

書籍画像 アラブ文学の研究者、岡真理さんは張り詰めた感性で作品と向き合う。半世紀以上にわたる民族の悲劇のなかに留め置かれているパレスチナをはじめとするアラブの人びとのまなざしを行間に凝らしながら読み解いていく。
 植民地主義を許容し、植民地主義に寛容とさえいえる世界史をサイードは著作『オリエンタリズム』で断じた。岡真理さんはそれをフェミニズムに引き寄せる。イスラームの女性はみずからの文化に内包する男尊女卑を認める「後進」した女性であり、西洋による世界の覇権はイスラーム女性の解放につながるという先進国女性の倣慢さに鋭利な批判を展開する。
 アラブの女性は民族の受難と闘いながら、みずからの性を誇り高く生きている。彼女らの闘いは生命の尊厳を脅かされながら間断なく存在する。
 それらの生が文学作品の断片とともに語られているのが本著。女性解放は民族解放ときり離れて存在することはない。
 透徹した文章に、あるときは励まされ、あるときは立ち止まる。(汝)

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