pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2309号/07.03.05

中世賤民の宇宙
ヨーロッパ原点への旅

阿部 謹也 著  ちくま学芸文庫(定価1300円)

書籍画像 従来「日本固有」といわれた部落差別は、今日すでに「職業と門地(世系)にもとづく差別」と名付けられ、南アジアやアフリカにもある同様の差別とともに国際人権法の禁止対象として確認されている。この地平に希望を見ながら本書を読み、「ヨーロッパにも被差別民がいたし日本と同様に賤視されていた」と早くから指摘し、歴史研究から運動を勇気づけてくれていた学者の存在をかみしめた。著者は、残念ながら昨年9月に亡くなった。
 本書は、西洋中世の「賤民」成立の過程に先駆的に迫った一冊。人間の力がおよぶ「小宇宙」とおよばない「大宇宙」。普遍的に見られたこの宇宙観が公的に否定されるなか、両宇宙の狭間にいた畏怖されていた人びとへの「賤視」が生まれたと説く。日本の部落差別に眼差しを返しはじめた節目の頃の87年の同名書を底本にした校訂版だ。
 のちに日本の人間関係の解明に「世間」に挑み、「部落解放基本法」も応援した著者。差別を正視し、「世間」に生きる自己をも見据える真摯な姿勢の広がりを願う。(K・S)

 

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37  ℡(06)6581-8516 fax (06)6581-8517
定価 1部 8頁90円 年ぎめ1部4320円(送料別)
送料 年1968円(1部購読の場合、それ以外はお問い合わせください。)