pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2358号/08.02.25

文章のみがき方

辰濃 和男 著  岩波新書(定価780円)

書籍画像  だれもが白紙の原稿に向き合うとき、あれこれと言葉を探しては、心に落ちる「一言」を探すのに悩んだことがあるだろう。
  作家たちもそれぞれに言葉と一人闘う。
  鶴見俊輔の文章修行は「これはうまい文だ」というものをノートに書き抜くこと。冊数は100をこえるという。
  「自分の思ったこと、感じたことをすなおに書くのが一番いい。文章の練習はこれが一番いい」というのは夏目漱石。
  永井荷風や池波正太郎はひたすら歩いたという。路地を歩き、人びとの日常のやりとりを傍観し、町並みの日ごとの変化を感じる。私も歩きながら文章を頭の中で5割がたは書いている。「無用の感慨に出会う」ことが自分の心を発見させてくれる。
  江國香織は徹底した現場主義らしい。自分で歩いて自分でみて、自分でさわったものを書いていきたいという。小説の中で彼女が描き出すニューヨークや東京の郊外など、色彩が見えるような文章に出会うことがある。町の感触を言葉でなぞったからだろう。
  心打たれる文章が何編も紹介されている。どれもさらりと響く。  (汝)

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)