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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2375号/08.06.23

悩む力

姜 尚中 著  集英社新書(定価714円)

書籍画像 芸術家・岡本太郎は、かって「孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ。孤独だからこそ、全人類と結びつき、宇宙に向かってひらいていくんだ」とのべた。
  いまこの時代を生きる人びとがもっている、孤立感や虚無感、生きている意味を見いだせないなどの「悩み」について、近代、その問題のとば口にたって人間の行く末を見据えた文豪、夏目漱石と社会学者、マックス・ウェーバーを手がかりに、どう「悩み」をのりこえればいいのかを考察している。
  グローバリゼーションや「自由」が拡大されたいまの時代では、ますます「個人」として生きなければならず、「自分が生きている意味」をそれぞれで手に入れるように強いられている。それを解決するには、他者との相互承認=他者を認め自分を認めてもらうことが不可欠だと説く。著者自身、他者とのつながりからもらった力で、私は私として生きていけるようになって心がひらけてきた、と語る。どうつながりを作ればいいのか、大いに悩んでほしい、と。
  私の場合、他者を認めるということは、自分と実勢に向き合って生きることなのだ、と感じた。 (謙)

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