pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2406号/09.02.09

子どもが育つ条件
――家族心理から考える

柏木 恵子 著  岩波新書(定価740円)

書籍画像

 地域の教育力を謳いながら、その主体にだれをおいてきただろう。
  ネットいじめや、さかんにいわれる学力低下など、子どもの「育ち」をめぐってさまざまな異変がおきている。一方で、育児不安などによる虐待もあとを絶たず、そのたびに母親の資質に原因を求める報道が垂れ流されている。
  これらの要因を、社会や家族関係の変化、発達心理学と家族心理学の視点から読み解き、家族のありようを提言するのが本書。書店に平積みの、「親は子をどう育てるべきか」が書かれているのではない。子どもの「育て方」が重視されるなか、子どもが本来もつ「育つ力」に着目し、子どもが育つためには大人自身が発達し、成長しつづけること、親が自分を生きていることが前提だと指摘する。また親とは、父も母も「なる」のではなく「する」ものだと。社会にたいしては、子育て支援から子育ち支援への変革をよぴかける。
  なによりも、最近よく主張されるワーク・ライフ・バランスの「ワーク」に家事や育児が含まれるという指摘、白物家電の発展が「主婦を楽にする」のではなく、「父親や子どもの家事を可能にした」という指摘には、目から鱗が落ちた。 (亀)


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)