ホームレスと人権

九州ホームレス支援団体連合会　編　　福岡県人権研究所（定価1000円）

　大阪市生野区で在日コリアンがもっとも密集している地域、かつてははイカイノとよばれていたところにハヌル（空）子ども会がある。住民の６割が在日という特異なまちで日本の子どもたちとともに多民族多文化共生をめざし、25年がすぎた。
　 厳しい状況に生きる子どもたちが「生きる」力を培うとはどういうことかとリーダーたちがともに語らい、「子ども白身が社会を知ること。その延長で子どもは自分でみつけていくだろう。それを応援しよう」。その考え方で始めたひとつに「子どもの夜回り」の参加がある。20年以上がたつ。釜ケ埼のホームレスの越冬を支援し、路上死を防ぐ一助になろうと、三角公園の前にある子どもの里に集まり、アパルトヘイトなどの社会問題について、それにとりくむ専門家から話を聞き、その後、班にわかれて毛布とおにぎり、暖かい味噌汁をもって、路上で眠る人びとに夜中まで配って歩く。
　 本書「ホームレスと人権」はそのような活動が日本社会すべての人びとに意識づけられることをよぴかけたもの。ホームレス問題を知る最初のとっかかりになる。Q＆A方式によって、ホームレスの人びとの人権を考える力をつけようと、説いている。　　　　　　　　　（汝）