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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2492号/10.11.01

ルポ差別と貧困の外国人労働者

安田 浩一 著  光文社新書(定価860円)

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 「これが「国際貢献と技術移転」の現実だ。国家ぐるみで推進される二十一世紀の人身売買である」。著者が厳しく告発しているのは、「研修制度」の名を借りた労働制度のことだ。
  「【基本給】月5~6万円。【残業時給】300円。【現金支給】月15000円」。「給与を強制的に貯金させ、しかも通帳、印鑑、キャッシュカード、パスポートを研修生の手から取り上げている」。こんな実態から米国務省が発表している「世界の人身売買の実能に関する報告書」では、「一部の外国人労働者は強制労働の状況にある」と指摘し、研修制度が「人身売買の一形態」との認識まで示している。
  日本の農業、縫製などの不況業種では、人件費削減を迫られる一万、人材不足に悩まされ、これを解決する抜け道として、外国人を利用した研修制度に依存。実態は労働そのものだが、研修生は労働者として認められてないため、労働基準法の適用外に置かれ、過酷な労働をしいられているケースが多くある。「08年には、三十三名の研修生・実習生が日本で命をおとしている」。驚くべき数字ではないか。第2部では「日系ブラジル人、移民たちの闘い」も紹介している。  (土)


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