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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2458号/10.02.22
 作家の立松和平さん、川崎彰彦さんが、あいついで亡くなった。立松さんは現役バリバリの小説家であり、テレビキャスターとしても有名。部落解放文学賞の小説部門の選者でもある。川崎さんは、本紙で映画・ビデオの紹介を担当していただいた。わかりやすい文体で、読者がどんな映画をみるのかを考えるさいの大きな参考になった
▼2人の専門は虚の世界を描くフィクション。現実の世界を描くものはノンフィクションという
▼猿舞座とは村崎修二さんが主宰する猿まわし一座。息子の耕平くんが猿の「なつみ」くんとタッグを組み芸をみせる。しかし、くだんのなつみくんは舞台の上でねそべってやる気なし。「きょうはやってくれるでしょうか」「やる気ないようだし」と泣きが続く
▼観客は、どこまでが虚で、どこまでが実かわからない。そんななかで見事に芸をみせる。虚と実の組合せこそ芸術と確信させる
▼滋賀での公演のときに、「これは教育論だ」と隣にすわった主催者の1人が叫ぶ。そのまた隣の女性がうなづく
▼じつは、この猿のなつみくんは伝統的な「本仕込み」。猿に暴力などをふるい、むりやり芸をしこむのではなく、生活をともにするなかでストレスを与えることなく徐じょに納得させながら覚えさせていく。うまくやれば、うんとほめてあげる。自覚と自主性を重んじる方向性は、まさに教育論に通じるものではないか
▼部落解放運動にも通じるものだ。

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