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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2474号/10.06.21
 墨汁を水の中に垂らすとどうなるか。水は、墨で濁っていく。量が多いほど、水は黒くなっていく。当然だ
▼オイルまみれになった海鳥が、もがき苦しむ姿が映し出される。湾岸戦争で流されたビデオではない。これは現在進行形の映像だ。米国メキシコ湾でのメジャーとよばれる巨大石油企業による海底油田掘削での事故が原因だ
▼英国BP社発注の掘削には多国籍企業が多数参加し、現在も事故原因や補償をめぐり責任のなすりつけあいがおこなわれている。79年にメキシコ湾で起きた同様の事故では海底の動物の90%以上が減少した。今回の事故での原油流出規模は、それを上回る
▼多国籍企業の事故により壊滅状態となった漁民への対応もひどい。漁民は事故の原油清掃の雇用を求めているが、それなら賠償訴訟権利を放棄せよと署名を強要している
▼今回の事故で明らかになったのは事故対策もそのさいのノウハウも何もなかったこと。生態系をどんなに破壊しようと知らぬ顔をするメジャーの姿勢だ
▼乾坤一擲とはさいころを投げ運をかけることから出た、大きな勝負をすること。ところがメジャーの場合は賭博のような海底油田掘削を平気で大量の金をばらまきながらくり返してきた。そのあげくの事故がこれだ
▼巨大企業と政府との癒着も明らかになり、オバマ大統領への批判も噴出している。こうした巨大資本の横暴は対岸の火事ではない。「奇兵隊」の活躍を期待したい。

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