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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2517号/11.05.02

「戦争と日本人―テロリズムの子どもたちへ」

加藤 陽子 歴史研究者 佐高 信 評論家  角川学芸出版(定価724円)

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 哲学者・久野収は「状況に支配されるのではなく、状況を支配しようとこころみた政治家は、ほとんど例外なく暗殺にであっている。思想をもった政治家らしい政治家はほとんど襲撃を受けた」と喝破。1921年、時の首相・原敬が19歳の少年に暗殺されたとき、大杉栄は「やったのは子どもなのだね」とつぶやいた。戦後、社会党の浅沼稲次郎を暗殺したのも17歳の少年だった。
  この書の、副題は「テロリズムの子どもたちへ」である。子どもたちにテロを推奨しているのではなく、昨年の尖闇問題で、差別・排外主義まるだLに騒いだ子どもたちを憂慮してのもの。したがってこの書は「高校生から読める日本近現代史入門」である。
  少年たちが従軍した西南戦争、政治家・思想家を狙った「子ども」によるテロ、戦争と徴兵制そして今日の検察ファッショ、尖闇問題など、「国家と戦争」を軸に歴史研究者とジャーナリストが「歴史の重層的見方、時代に爪を立てる方法」を語り、「柔軟な非戦の思想を、日本人の経験にさぐる」。佐高は、大岡昇平の「戦争を知らない人間は半分は子どもである」の言葉から、大人になる
ためには、やはり知る必要がある、と力説する。     (MT)


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