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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2554号/12.01.30
 映画「オールウェーズ(三丁目の夕日)」の最新作があたっている。映画が描く時代は1964年、「昭和」30年代の最後にあたる。この年、東海道新幹線が運行を開始し、東京オリンピックがはじめて日本で開催された。いずれも日本の経済成長のシンボルだった
▼映画がヒットするのは、東日本大震災以降、声高に叫ばれ続けている「絆」が描かれているから。それは家族の絆であり、ご近所の、小共同体での絆だ。あの頃はよかったというノスタルジーに高齢者は浸り、あの時代を知らない若者は、いまはなき絆にあこがれる
▼中国や韓国でも家族や小共同体での絆が描かれた映画やドラマがはやる。それはいずれの国でも、もはや家族すら解体・崩壊しつつあるからだ
▼近代哲学の出発点とされたのは、個人-家族-市民社会-国家という構図だ。市民社会や国家が崩壊し、家族まで崩壊し、ばらばらの個人がむき出しで社会に放り出されているのが現状だ
▼東日本大震災がつきつけたのは、日本の現状の変革、共同体の再興を含めた復興。それと原発に象徴される現代文明の再考と新たな生き方ではないのか
▼「オールウェイズ」の時代は、必ず経済成長がともない、政権政党が社会保障政策をとり続けることができ、そのことが幸福感につながった。だが、いまは違う。社会保障は崩壊寸前、経済成長は望めない
▼こうしたなかで、何をどう作り、変革するのかが問われ続けている。

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