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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2620号/13.05.27

ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」

安田浩一/山本一郎/中川淳一郎 著  宝島新社(定価762円+税)

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 すでに「アラブの春」や脱原発運動の例もあり、民衆のネット活用には人権社会への大きな可能性がある。50年目の狭山闘争も、いまや多くの友人と交流できる「フェイスブック」などのソーシャル・ネットワーキング・サービスや、より即時的な「ツイッター」なども使って闘う時代に入ってきた。急速に普及するスマートフォンなどは、情報の即時発信や情報交換、効果的な世論の拡大にも大いに活用できるだろう。
  しかし、ネット活用の実態は、まだ差別・排外主義の勢力が私たちに先んじているようだ。氾濫させたネット上のデマから、すでに実社会の集団「ネット右翼」も生み出しており、そのシンボル的存在が、一幹部の水平社博物館前での差別街宣も記憶に新しい「在特会」。「在日特権」というデマにもとづく集団だ。
  本書は3人の共著。第1章では、ある若者が在特会に入った過程も紹介している。貧困・格差に関心をもち「闘う主体」として社会に深くかかわりたいと考えていた青年だった。しかし「左翼党派は、運動体としての魅力には乏しかった。「党」の存続だけに力点が置かれ、「民衆」に呼びかける力が不足しているように思えた」と当時の青年の心も読む。示唆に富む一冊だ。(K・S)


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