pagetop
コラム
今週の1冊 第2684号/14.09.22

潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆

大橋 幸泰 著 講談社選書メチエ(定価1650円)

書籍画像

 江戸時代のキリスト教といえば、どんなイメージをもっているだろうか。島原の乱という史実と、踏み絵に代表される宗教弾圧を、きっと思い浮かべるに違いない。
  そんなキリスト教にスポットを浴びせ、歴史をみつめなおしたのが、この一冊だ。その結論から紹介すると、「近世秩序が徹底的に排除しようとしたのは後者の「切支丹」(厳しい禁教下でキリシタンの実態からかけ離れた虚像)」という現実だった。本来の宗教者たるキリシタンは「異宗」「異法」と位置づけられながらも勤勉な百姓として生きて潜伏し続けた。そのいっぽうで、「切支丹」と同類のものとして浄土真宗の隠し念仏で処罰されている事例などを椙介しながら、「既存宗派の本山から見て異質なセクトや民間信仰的な活動などの異端的宗教活動と、怪しげなものの象徴としてイメージが貧困化した「切支丹」との境界が曖昧になってきている様子を窺うことができよう」と、キリシタン禁制が19世紀にはいると「キリシタンとは別のものを処罰する政策になった」ことを解き明かしている。
  それにしても潜伏キリシタンを支えたものが村社会という分析は興味深い。(土)

 


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)