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NEWS & 主張
部落解放同盟ガイド
主張

 

差別糾弾闘争を発展させ
部落解放の大道を切り拓け
(1998.4.27-第1868号)

 いわゆる大競争時代への突入は、弱肉強食的な格差拡大、民族間の対立、宗教紛争をひきおこし、将来に不安を抱え不安定なカオス(混沌)の時代ともいわれる。このような時代は、抑圧移譲的な差別事件を多発させる。一握りのスケープゴート(生けにえの山羊)をつくりだし、人びとのフラストレーション(欲求不満)をそれに向むけさせ、安全弁の役割をさせることで国民の批判をかわそうとする動きがあらわれてくる。その最たるものが、第2次世界大戦時のナチスによる人種差別義であり、日本の軍国主義だったといえよう。

 今日では、発信人が特定できないインターネットやパソコン通信、パケット通信での差別事件や、差別電話、差別投書の続発としてあらわれてきている。高度情報機器を悪用した差別情報の野放ばなし状態にたいし、郵政省交渉や法務省交渉をおこない、何らかの方策が必要という点での一致など一定の前進はみているものの、法的整備は実現していない。
 差別投書も、たんなる嫌がらせから攻撃的なものになりつつあり、警戒を要する。大阪の部落解放センター壁面の差別落書もその一つで、今日の歪んだ社会意識の反映でもあり、その真相を明らかにする努力をおこなっている。
 これらの悪質な差別事件への断固とした闘いを展開することは当然であるが、差別落書の実行者を捕まえ、公的機関が訴え、三重県の津地裁が有罪判決を出すなど、差別事件にたいする社会的評価などで一定の成果もあがっている。
 部落解放同盟は全国水平社以来、差別糾弾闘争を大切にし、権力の弾圧に屈せず闘い抜いてきた。
 悪名高い86年「地対協」路線にたいしても、糾弾会の「公開性、社会性、説得性」をもった闘いを展開し、共闘関係やマスコミをはじめ、多くの国民の支持をかちとってきた。

 差別事件が発生すると、当事者はもとより、部落解放同盟の代表、行政や教育関係者、共闘の代表など、少人数で確認会をまずおこなうことが重要である。その差別事件が真に部落差別であるかどうか、必ず、ともに納得・確認することも大切である。
 糾弾にとりくむためには、必ず糾弾要綱を作成しなければならない。糾弾は報復や恫喝でないことはいうまでもない。差別にたいする激しい怒りが、結婚差別事件などでは噴出しやすいが、糾弾は、差別者を変革し、反差別への連帯者とするための場でもあることを基底にすえておかなければならない。
 「内容は厳しく、表現はおだやかに」、差別者個人の変革をかちとるとともに、個人の所属する団体や、在住する自治体の責任としての、啓発や「同和」教育の不十分性を明らかにし、充実を求めることも重要である。
全国水平社以来の糾弾闘争を、理論的にも実践的にも発展させ、部落解放・人間解放という同じ目標に向かう大道を、切り拓こう。