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NEWS & 主張
部落解放同盟ガイド
主張

 

全国大会の成功のもとに
完全解放の大道歩もう
(1998.6.8-第1873号)

 「世界人権宣言50周年を期し、第3期の部落解放運動を創造しよう」をスローガンにした第55回全国大会は、組織内外の人びとの注目のなか、成功裏に終了した。
 解放の父・松本治一郎元委員長、反差別国際運動(IMADR)の創始者・上杉佐一郎元委員長の生誕の地、福岡での開催であり、上杉元委員長の3回悲の5月10日から3日間、真摯な論議がおこなわれた。
 今大会では、上田卓三前委員長、川口正志、羽音豊両前副委員長が勇退し、北山誠一、青木郁夫、北山俊乃の3中執が健康上の理由で中執を辞するなど、世代交代を印象づけた。今日まで奮闘された5人の方がたに、心から感謝の意を表したい。
 新しい組坂繁之委員長、高橋正人書記長の体制は、激動する内外情勢のなかでの船出であり、多くの課題を抱えている。
 組織内に向かっては組織強化をどうはかるか、外に向かってはいままで以上に連帯・共闘の輪をどう広げていくのか。2面作戦とでもいうべき闘いの構築をはからねばならない時代のカジとりが問われている。

 具体的には、「部落解放基本法」制定に向け、国民世論を強力に結集しなければならない。人権擁護推進審議会への力強い働きかけをおこない、夏までに「中間報告」を出させ、不十分な所を各人権団体とともに批判し、軌道修正をおこなわせ、来年5月末頃に予定されている、教育・啓発に関する「答申」を「部落解放基本法」につながる内容をもったものにするために、総力をあげねばならない。
 具体的な課題の2つ目は、狭山第2次再審の闘いである。
 第2次再審請求も12年目を迎え、担当する東京高裁第4刑事部の高木俊夫・裁判長も4年を過ぎ、陪席の久保、長谷川、岡村の3裁判官も3年目となり、いつ判断が出されてもおかしくない、まさに予断を許さない緊迫した局面を迎えている。種じゅの戦術を駆使し、石川一雄さん不当逮捕35年の今年こそ勝利しなければならない。部落差別によるえん罪事件である狭山差別裁判糾弾闘争に勝利することは、部落完全解放の大道を切り拓く途でもあることを肝に銘じて闘わねばならない。
 第3の課題は、反差別共同闘争のいっそうの発展をめざすとりくみである。
 反差別国際運動(IMADR)も創立10周年を迎える節目の年であり、第5回総会も日本でひらかれる。ヨーロッパでのネオ・ナチの台頭や人種差別主義、原理主義など、世界的にも危険な動きがあらわれ、国内でもアンチ人権派の動きが活発になってきている。最近も、ある教育委員会の新任教職員研修で、講師が戦争賛美的な講演をするなどの事件もひき起こされている。
 人権侵害を許せば平和は崩壊し、戦争へ突入するという愚挙を、人類は3度もおかしてはならない。そのためにも部落解放同盟は、国内外の人権闘争の推進役となって世界の水平運動にとりくむことが求められている。

 そのほか、「同対」事業の点検・改革、新「部落解放総合計画」の策定、「部落解放人権宣言・条例」の採択・制定、未指定・未組織部落への働きかけ、組織内の女性差別撤廃へのとりくみ、高齢化と青年の流出問題など、まさに課題が山積している。
 新執行部は若い中執も増え、その行動力を発揮したい。全国の同盟員のみなさんと力を合わせ、心を一つにして闘っていくことで、必ず展望がひらけると確信している。
 全国大会で決定した方針を各地で実践し、ムラ自慢・支部自慢の具体例を示しあい、21世紀を部落完全解放・人権の世紀とするために奮闘しよう。