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1・23~2・23狭山闘争強化
月間を全力で闘いぬこう

 二〇〇三年の幕開けとともに、不当な異議申立棄却決定にたいする特別抗告申立から一年が経過する。昨年十月末に、弁護団は特別抗告申立補充書を提出し、十月、十一月には最高裁第一小法廷の三人の判事が交代したことから考えても、いよいよ今年は特別抗告審が正念場を迎えるといわねばならない。弁護団の補充書は確定判決の各有罪証拠の疑問、棄却決定の誤りを明らかにしたうえで、自白の虚偽・架空性を詳細に分析し明らかにしている。東京高裁の二つの棄却決定、すなわち高木決定、高橋決定が誤りであり、審理をまったく尽くしていないことは明らかである。
 最高裁は、無実の人を誤判から救済するという刑事裁判の理念にもとづいて、「疑わしきは被告人の利益に」「合理的疑いがあれば再審を開始する」という鉄則をつらぬかねばならない。そのためには、有罪証拠に生じている「合理的疑い」をごまかさず、ただちに事実調べ、とくに鑑定人尋問の機会を保証し、再審を開始すべきである。
 弁護団が多くの新証拠、新鑑定を提出し、これだけ多くの「合理的疑い」を投げかけているにもかかわらず、二十八年以上も事実調べがないという事態はもはや許されない。今年は、緊張感をもって最高裁にたいする特別抗告審の闘いに全力でとりくもう。

 さらに、今年は司法改革、とくに裁判員制度や証拠開示など刑事手続きの改革が国会をふくめて本格的に議論される年になる。政府の司法制度改革推進本部の「裁判員制度・刑事検討会」は、すでに昨年末の会議で証拠開示手続きについても協議しはじめている。司法制度改革推進本部が昨年秋におこなった、刑事手続きの論点についての意見募集には三千九百三十二件の意見が寄せられ、そのなかで「冤罪を防止する観点から弁護側が証拠開示を受ける権利をルール化すべき」との意見は二千二百六十七通、また、「検察官が手持ち証拠のリスト、内容を弁護側に明らかにする義務を明記したルールを作るべき」とする意見も二千百二通あったと報告されている。
 司法改革で、冤罪、誤判をなくす努力を求め、公平・公正な証拠開示のルールを確立すべきだという国民の声が大きいことを示している。昨年十二月には、弁護士、学者、ジャーナリスト、元裁判官らの呼びかけで、「冤罪・誤判をなくすための公正・公平な証拠開示のルール化を求める会」が発足し、今年幅広い運動を展開しようとしている。
 国民が裁判に参加する「裁判員制度」についても、どのような制度にすべきか、われわれ自身が積極的に考えていかなければならない。市民による裁判員の数をできるかぎり多くし、全面的な証拠開示や捜査、取り調べの可視化など刑事手続きの改善をあわせて求めていくことも必要だ。
 二〇〇三年は司法改革を国民的に議論しなければならない年である。幅広い運動で何としても公正な証拠開示制度を実現しょう。

 また、今年日本政府は国連にたいして自由権規約にもとづく第5回報告書を提出し、国際人権自由権規約委員会で審査されることになる。五年前の審査で日本政府は、弁護側が検察官手持ち証拠にアクセスできるよう実務および法律を改善するよう勧告を受けている。委員会の審査では狭山事件が名指しされ、証拠開示の保証はどうなっているのかと質問も出された。
 にもかかわらず狭山事件では、この五年間まったく証拠開示がなされないまま、二度にわたって棄却決定が出されている。国連勧告はまったく無視され、証拠開示の改善はすすんでいないのが現状だ。今年は国際的にも冤罪・狭山事件と証拠開示、日本の司法の問題を訴えていく必要がある。

 今年五月には狭山事件発生、すなわち石川一雄さんが不当に冤罪におとしいれられて四十年を迎える。私たちは、まず、四十年もの間、石川さんを冤罪・誤判の苦しみにしばりつけていることを真剣に総括し、長期にわたる人権侵害を強いている司法の実態を考えるとともに、国内外に訴え、変えていく年にしなければならない。
 昨年の異議申立棄却決定から一年を迎える一月二十三日から一か月間を狭山闘争強化月間とし、各地でとりくみをすすめよう。
 弁護団補充書などの学習、原点にかえった狭山事件の総学習をすすめ、石川さん無実の真実を徹底して広げ、特別抗告審勝利にむけて、最高裁に正義の実現をせまる年にしよう。


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