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「○○は同和地区ですか」
和歌山市職員が身元調査
「解放新聞」(2003.09.08-2135)

 

 【和歌山支局】「○○さんは、同和の人ですか、調べてくれますか」と、和歌山市水道局職員Aが、子どもの結婚にさいし、和歌山市役所や県庁のさまざまな窓口で、執ように身元調査をしようとしていたことが発覚し、県連は、5月17日に和歌山市・共同指導センターで確認会を、8月6日に同和企業センターで糾弾会をひらいた。部落問題の解決に向けて積極的にとりくまなければならない行政が、Aによる差別行為を見過ごし、差別を放置・助長したことが明らかとなった。

 確認会、糾弾会には、県連執行委員や委員、共闘関係者らが参加、行政からは、職員Aをはじめ、和歌山市の大橋健二・市長、射場道雄・助役、和歌山県の野添勝・企画部長、坊邦雄・人権政策課長ほか多くの職員が出席した。
 大橋市長は、「打田町差別事件につづき、行政職員による差別事件にたいし心より深くお詫びする。身元調査をおこなうことにたいし『悪い』という意識をもたずおこなった当該職員にぶぜんとした。この事件を分析・検討し職員の研修体制をいま一度点検し、より実質的、効果的な研修に努める」とのべた。野添企画部長も「人権室の対応も問題意識をもった適切な対応を怠った。差別を見抜き、許さない感覚を身につけたい」と語った。職員Aは「皆さんに迷惑をかけ、申し訳ない」と謝罪した。
 確認、糾弾会を通して明らかになったことは、職員であるAをはじめ、Aが行政のさまざまな窓口で執ように身元調査をしたにもかかわらず、どの窓口でも何の指導もせず、そのまま帰してしまった点。行政の差別への捉え方の問題が浮きぼりになった。
 また、Aが「相手が部落出身であれば、結婚に反対した」ことを認めるとともに、「地区同士の結婚が多いので、血筋が違う」「もめたらうるさいところ」などの差別意識をもっていたことも明らかになった。そして、「市の職員研修も、30年間で1、2回しか受けていない」とのべ、市の研修実態も明らかになった。
 県連は、この差別事件をとおして、差別を助長する社会意識の分析や、行政のはたす責任が大きく欠如していることを明らかにした。

窓口職員も放置したまま
行政職員による差別事件の概要

 昨年10月20日、和歌山市職員Aの娘の結婚相手の男性が、母親と一緒に具体的な結婚話で自宅を訪問。
 Aは娘の結婚相手のことを知ろうと、10月22日、和歌山市役所の市民課に行き、知り合いの職員に「他人の謄本見せてくれるか」と聞くが断られる。
 10月25日、職場の同僚に「○○は同和地区かどうか」「同和地区のことがわかるところはどこか」を聞く。同僚は、「国保でわかるかも、でも、教えてくれない」と答え、「そんなこというたらアカン」と注意する。
 10月28日、庁外から国民年金課へ電話で「○○番地の○○さんは同和の人ですか、調べてくれますか」と問い合わすが、「答えられません」と断られる。その後、田野支所にも電話で同じことを聞くが断られる。
 こんどは、和歌山県庁の人権室に行き、職員に住所・名前を書いたメモを出し「この人は同和の人かどうかわかりますか、パソコンでたたいたらわかりますか」と聞くが、「そんなことできません」と断られ、その場を立ち去る。職員のやりとりをみていた副室長が「いまの人は何をしに来たのか」と尋ねて事実を知る。上司が、通勤途中でよく見かける人だったので、翌 10月29日、通勤時にAを見つけ、事実が明らかになった。


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