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第159通常国会で「人権侵害救済
法」制定の闘いを本格化しよう
「解放新聞」(2004.01.26-2154)

 

 1月19日から第159通常国会が開会した。6月16日までの150日の会期予定である。自衛隊のイラク派兵問題や年金などの「三大
改革」問題、さらには憲法論議などが大きな争点となる国会であり、日本の将来にとって重要な問題があつかわれている。
 われわれは、日本の国を「生命・人権・平和・環境」を大事にすることを基軸にした社会にしなければならないと考えている。それは、「ふるさとを隠すことなく、自分の人生を自分で切り拓き、自己実現していける社会、人びとが互いの人権を認めあい、共生して行く社会、われわれは部落解放の展望をこうした自主・共生の真に人権が確立された民主社会の中に見いだす」とした同盟綱領がめざす社会の建設である。このような基本姿勢から憲法がどうあるべきかが議論されなければならない。
 しかし、現在の憲法論議や教育基本法論議は、小泉政権がすすめる「戦争への危険な道」と「弱者切り捨ての市場原理の道」の延長線上にある「改悪」路線であり、断じて認めることができないものである。
 しかも重要なことは、「改憲」・「加憲」とか、「創意」・「護憲」とかの方法論的立場の表明で議論を先行させるべきではなく、まず日本の社会のあり方についての将来展望(ビジョン)を具体的に指し、徹底的に議論すべきであるということである。主客転倒した議論は、社会的混乱と軋轢を招くだけであって、益ある議論とはならないことを肝に銘じておく必要がある。

 このように日本の将来にかかわる大きな争点をかかえた第159通常国会ではあるが、それゆえに大切なことは、「人権侵害救済に関する法律」の早期制定を立法府の責任で実現し、日本の人権政策確立の礎を築いていくことである。
 われわれは、廃案になった「人権擁護法案」の問題点については、すでに余すところなく批判し、かつてない広範な各界の人びととの連帯によって抜本修正をねばり強く求めて、法制定への多様なとりくみを展開してきた。
 そのとりくみの経過と成果を大事にしながら、新たな「人権侵害救済に関する法律」の早期制定を求める根拠を「3つの責任」(政府責任、国際的責務、政治責任)として明らかにしてきている。
 これらの経緯をふまえるならば、「人権擁護法案」の小手先の修正による焼き直し法案の再提出はありえず、人権擁護推進審議会答申の具体化と「パリ原則」にもとづいた真に人権侵害救済に実効性のある新たな「人権侵害救済に関する法律」の提案・制定を立法府の責任で追求していくことが肝要である。
 まさに、このことが第159通常国会に課せられた重要な責務の1つとして問われているのである。

 われわれは、「人権侵害救済に関する法律」制定に向けてのとりくみの基本方向をすでに明確にしてきたところであるが、さらにふみこんで早急に新規法案(地方人権委員会設置構想も含めて)の具体的な構想を練り上げる作業に着手し、広範な各界の人びとの意見を集約しながら、将来の日本の人権政策確立へ禍根を残さない法案の作成と制定に全力をあげた新規立法運動のとりくみを開始していく。
 われわれは、この新規立法運動にたいする与野党の賛同議員を幅広く結集するとともに、院外での「人権侵害救済に関する法律」の早期制定を求める国内外の各界の声を集中させていくとりくみと連動させて、1日も早い「法」制定をかちとることをめざすものである。
 2月3日にひらかれる部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会の「中央集会」は、このような第159通常国会での「人権侵害救済に関する法律」の早期制定をめざすとりくみの意志統一をはかっていく重要な場となってくる。「人権擁護法案」の廃案を乗りこえ、新規立法運動を推しすすめるとりくみを各地から強化していこう。


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