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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

マスメディアの認識を
糾弾つうじ変えよう
「解放新聞」(2005.4.11-2214)

 今年1月23日、テレビ朝日系列で放送された「サンデープロジェクト」で前代未聞の差別放送(2208号、2211号既報)がおこなわれた。
 テレビ朝日と朝日放送の共同制作で、1月23日と30日の午前10時から放送された『「食肉のドン」の犯罪~「政・官・業」利権構造~』と題して、食肉商社ハンナングループの浅田満被告を取り上げ、その23日の番組冒頭につぎのような部落差別発言がおこなわれた。
 まずメインキャスターの田原総一朗さんが、「だいたいこの人をやんないマスコミが悪い」「被差別部落のなんとかと言ってね、恐ろしがってる。何にも恐ろしくない、本当は。タブー視されている、ここが問題(取材に当たったジャーナリストの大谷昭宏さんと内田誠さんを指して)この人は、被差別部落をタブー視しないからできる」と大谷さんと内田さんをもち上げた。
 つづいてコメンテーターの高野孟さんが、「マスコミがタブーとしてきた」と言葉をはさみ、さらに田原さんが、「それを大谷(昭宏)さんは取り上げた」と繰り返し褒めあげたうえで、高野さんが、「大阪湾に浮くかもしれない」と発言し、司会役のうじきつよしさんが、「危ないですよ。二人とも」と念を押し、田原さんが、「変にマスコミがタブーとすることが、逆に言えば差別」と締めくくったのである。
 これら一連の差別発言にたいして、番組の途中で司会の女性アナウンサーが不適切な発言であることを認め、一応の謝罪がなされたが、きわめて不十分なものであった。

 つづいて2回目を放送した1月30日の番組冒頭で宮田アナウンサーが、「先週の放送の冒頭のコーナー、ハンナンの浅田満被告の特集を説明するくだりで、被差別部落の人たちの心を傷つける発言があったことをお詫びします」とのべたあと、出演者によって謝罪がおこなわれた。
 以上が放送内容の事実であるが、これら1回目の田原さん、高野さん、うじきさんの一連の発言は多くの問題点を含んでいる。
 まず田原さんは、番組の冒頭「つかみ一の部分で、番組後半に放送される『「食肉のドン」の犯罪』への関心を高めるために番組内容のシンポリック(象徴的)な紹介をおこなうとともに、視聴者の好奇心を高める発言をおこなっている。田原さんが視聴者の関心をもっとも高めることができ、番組内容を端的に表現する凝縮した発言内容が冒頭発言なのであり、そこにタブー視される被差別部落イコール浅田被告をもってきているのである。

   さらに「だいたいこの人をやんないマスコミが悪い」「被差別部落のなんとかと言ってね、恐ろしがってる」と発言し、浅田被告のことはこれまであまり知られていないと番組でも語っているにもかかわらず、浅田被告の出自を何の前触れもなく突然明らかにしている。
 公共放送が特定の人物を被差別部落出身と断言して許されるはずはない。たとえ公判中の被告人であったとしても公共放送で出自を明らかにされることは、紛れもなく重大な人権侵害であり差別である。関係者が計画的であるかどうかは別にして部落差別が実に巧妙に利用されているとともに、助長されていると指摘せざるを得ない。
 つまり、部落差別が二つの目的のために利用されている。一つは浅田被告のマイナスイメージを強調するための道具として、もう一つはタブーに挑戦するサンデープロジェクトの勇敢な取材姿勢を強調するための道具としてである。
 そしてこの二つを強調することを通じて、被差別部落にたいする偏見を強化し、部落差別意識を助長するという許し難い役割をも担っている。

 また、田原さんの発言は、視聴者や他のマスコミは被差別部落に偏見をもっており、被差別部落を「恐ろしい」と思っているという前提に立っており、だから「何にも恐ろしくない」となっている。このように視聴者の差別意識状況を認識していながら上記のような報道をすれば差別意識がさらに拡大し、助長されるのは明白である。
 このような状況下で被差別部落出身を強調し、そのような人の取材をすれば「大阪湾に浮かぶ」となれば被差別部落を殺人集団と断定したに等しく、部落差別を助長するきわめて悪質な発言である。
 以上のような前代未聞の重大な差別放送にたいして、その真相究明に向けて全国の部落出身者をはじめ全同盟貞の思いを受け止めて差別糾弾闘争を展開する。
 差別糾弾闘争とは、差別にたいする抵抗であり、抗議であり、同時に差別をした人と部落出身者やその組織が真摯な話し合いをとおして当該差別事件の差別性、問題点および背景・課題を明らかにしようとする教育の場、共生の道を作り出そうとする場でもある。
 今回の差別糾弾闘争を通じてマスメディアの差別撤廃・人権確立の認識がさらに深まることを求めて粘り強いとりくみを推進していく。

 

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