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部落問題資料室
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通常国会での「人権侵害救済法」制
定に向け各地で闘いを準備しよう
「解放新聞」(2005.12.19-2249)

 先の第163特別国会の参議院本会議(9月29日)で、民主党の神本美恵子議員の代表質問にたいして、小泉首相はつぎのように答弁した。「人権救済制度でございますが、自民党は今回の総選挙に際し、政権公約において、簡易・迅速・柔軟な救済をおこなう人権救済制度の確立を公約しております。政府・与党内でさらに検討をすすめまして、人権侵害被害者の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるように努めてまいります」――これが、今日時点での政府の公式見解である。
 首相答弁を受けて、政府・与党で来年の通常国会に向けて「人権擁護法案」の提出準備がすすめられていることが側聞されていた。このような動きをにらみながら、部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会は、特別国会最終盤の10月27日に、自民党、公明党、民主党、社民党の与野党にたいして、「充実した「人権侵害救済に関する法律」の1日も早い制定を求める」要請行動を展開してきた。対応した各党の代表は、いずれも成立へ向けての強い意欲を表明してきた。
 しかし、11月初旬の第3次小泉内閣の組閣にともなう政府・自民党の人事改造によって、状況が大きく変わってきた。
 杉浦法務大臣は、①法律は必要だが、政府原案には問題が多く議論が必要で来年の通常国会提出にはこだわらない②議員立法の方が望ましい③法務省外局化にもこだわらない、などの見解を示し、従来の政府・与党の方針との違いを見せている。
 自民党の人権問題等調査会も、会長が古賀議員から鈴木俊一議員(元環境大臣)に交代し、事務局長も熊代前議員から松浪健四郎議員になったが、新体制のもとでの明確な方向は議論されていない状況である。
 まさに、政府・与党は、来年の通常国会に「法案」提出をおこなうのかどうか、閣法でいくのか議員立法でいくのか、立ち往生した状態となっている。

 私たちは、この状況にたいして、第162通常国会での混乱と、その後の巨大与党の出現という新たな政治状況をふまえながら、どのように闘いをすすめていくべきか。来年の通常国会に向けたとりくみの基本方針をつぎのように提起したい。
 まず第1に、これまでの「3つの責任」(政治責任、政府責任、国際責務)を追及してさた経緯をふまえ、第164通常国会での閣法による「人権侵害救済法の早期制声を求めていくことを基本とする。
 第2に、その実現への政治条件を作っていくために、各政党への働きかけを強化し、超党派議連や与野党協議の場作りを求めていく。
 第3に、同時に、国会外の「法」制定の推進勢力の形成に向け、人権NGO団体の強力なネットワーク作りをおこなっていく。その結集軸として広範な団体・個人による「総合的な人権の法制度体系の全体構想」策定プロジェクトの創設と活性化をめざす。
 第4に、地域実行委員会を中心に運動と組織の拡大を図りながら、広範な「法」制定への世論形成をおこなっていく。とりわけ、反対勢力の「地方自治体での意見書採択」の動きを警戒しながら、議会対策を綿密におこなっていく。

 基本方針の具体化に向け、当面各地域でつぎのとりくみ課題に全力を集中していこう。
 第1に、来年1月中旬までに、中央実行委員会段階で「人権侵害救済法」にかかわる分かりやすい解説パンフを作成し、差別・人権侵害実態をふまゝ溝「法」の必要性や歴史性を各政党・国会議員に訴えていく準備をすることである。これは、各地域でも活用できるようにするが、地域実行委員会で独自の差別実態などを中心にした地域版解説パンフを作成することも重要である。
 第2に、地域実行委員会で前述の「解説パンフ」などを活用して、各地での学習会や集会をきめ細かく開催して、「人権侵害救済法」制定への社会的世論の拡大を図っていくことである。その結実として、早期制定への「自治体決議」や「首長意見書」を獲得していくとりくみを拡大強化し、反対派の動きを封じ込めていく必要がある。
 これらのとりくみを背景にして、当該都府県選出の国会議員にたいする地元での丁寧な働きかけを実施して、国会へ反映させていくことである。
 第3に、10月12日に県議会で採択された「鳥取県人権救済条例」にたいして、マスコミの批判キャンペーンや反対意見書・メールがなされている。このようななかで、朝日新聞社説(11月4日付)がきわめて適切な論評をおこなっているのは、注目に値する。「鳥取県人権救済条例」にたいする反対意見やメールは、一部反対派の組織的なとりくみである。
 したがって、本当に差別や人権侵害に苦しんでいる立場から、個個人の生の声として「条例」に賛同する意見を幅広く鳥取県・県議会に集中することも重要である。同時に、鳥取県の「条例」制定を契機に、全国各地でこれにつづくとりくみをおこなっていくことが必要である。
 来年の通常国会での「人権侵害救済法」の1日も早い制定をめざし、地域からの闘いを周到に準備していこう。


 

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