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部落問題資料室
NEWS & 主張
問われる厚労省
「彦根市内の部落を教えてほしい」と
東京の人材派遣会社が差別問合せを
「解放新聞」(2006.08.28-2283)
 【滋賀支局】「彦根市内で同和地区があると思うが、その場所を教えてほしい」と、東京の人材派遣会社が彦根市役所に差別問合せをおこなった事件で、3回の事実確認会によって、規制改革で新しく生まれた民間職業紹介業や人材派遣業者にたいする部落問題・人権問題の啓発のあり方や、公正採用選考・人権啓発推進員設置指導の問題など、厚生労働省の許認可・指導の課題などが明らかになった。

事実確認会を3回
 事実確認会は、第1回を05年8月、第2回を11月、第3回を06年4月27日におこない、県連をはじめ地元の広野支部、彦根市行政、滋賀労働局など関係機関と(株)M社の代表者らが出席した。
 3回にわたる事実確認会で、M社は、①彦根市に電話で「同和地区の場所を教えてほしい」という差別問合せをした事実を認め②間合せの理由として、採用でトラブルがあると困るからという返答と、担当者が普段何となく噂として耳にしたことを「業界の噂」と発言したことなど、も認めた。
 そして、M社が、①厚生労働省から許可を受けたさいに「公正採用選考・人権啓発推進員」設置の指導を受けていないこと②労働派遣法にもとづく「派遣元責任者講習」で部落問題について研修を受けたことがないこと、またM社自身が部落人権問題で社内研修をおこなっていないことなどが明らかになった。
 これらのことをふまえてM社は、①社長を公正採用選考・人権啓発推進員に選任して管轄の職安に届けたこと②「推進員」を中心に自社内で研修を実施③新入社員にたいして、入社後1週間以内に人権研修をおこなう④社内での採用統一基準を策定して徹底する、の4点を約束した。
 県連は、さらに今後、3回の事実確認会のなかで明らかになった労働局などの行政課題について学習会をすすめていく。

事件の概要
 東京に本社を置く人材派遣会社・M社の社員が05年5月30日、彦根市教育委員会生涯学習課に、電話で会議室の利用を申し入れたさいに、「彦根市内で被差別地域があると思うのですが、その場所を教えてもらえないか」という差別問合せをおこなった。
 対応した彦根市職員が「同和地区のことですか」とたずねると、M社社員は「そうです」と返答し、「差別につながるので教えられません」と市職員がいうと、「あぁ、そうなんですか。分かりました」といって一方的に電話を切った。
 その後、会議室の利用申込書を確認したところ、東京の(株)M社の存在が明らかになり、事実確認の電話を入れたら、問合せをおこなったことは認めたものの、誰が電話をしたかは答えられない、と返答した。
 そのなかで、なぜ同和地区を教えてほしいと問合せたのかについては、「雇用条件、通勤経路の関係で面接のさいにトラブルが起きないように……」と回答し、トラブルとは「業界に噂があるから……」と返答した。
 (株)M社は、東京に本社を置く厚生労働大臣が許可した一般労働者派遣事業者で、正社員22人、契約社員51人、稼働527人の企業。

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