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部落問題資料室
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主張

 

部落解放運動の存亡かけ再生めざし
組織総点検・改革運動をやりきろう
「解放新聞」(2006.10.30-2292)

 部落解放同盟は、1990年代のはじめから「同和対策事業総点検運動」を不十分ながらも全国的に実施してきた。これは、20年来の同和行政が転換期に入ったとの認識のもとに、「解放が目的、事業は手段」との観点を徹底する立場から、同和対策事業を検証していこうという総点検運動であった。
 同時に、第3期の新たな部落解放運動を展開していくために、3つのスローガンを打ち出した。すなわち、「部落の内から外へ」「差別の結果から原因へ」「行政施策への依存から自立へ」という方向であった。これは、部落解放運動が、水平社以来の80有余年にわたる「よき日」をめざした自主解放の闘いで勝ちえた社会的信頼と部落解放・人権政策確立という社会的使命を担っていくという自信と誇りに裏付けられたものであった。
 2002年3月末の「特別措置法」期限後の同和行政の転換で、部落解放運動も少なからず影響を受けてきたことは事実である。多くの自治体では、激変緩和措置として3~5年の経過措置を講じてきたが、その経過措置も現時点では最終段階にさしかかってきている。長年慣れ親しんできた従来のやり方だけに依存することによる「困難な問題」が各地で現実的に生じてきているといえる。
 この事態を見越して、第58回全国大会(2001年)では「組織強化基本方針」を決定し、本年の第63回全国大会で主要課題として「地域における日常闘争の活性化」を通じたとりくみで全国的な組織強化の方針を打ち出してきたのである。

 この時期において、今年5月に大阪「飛鳥会」問題が惹起し、全国の同盟員や支援者に多大な迷惑をおよぼし、部落解放運動の社会的信用は大きく失墜した。大阪府連は、本人にたいする除名処分を直ちに決定するとともに、9月9日には組織内外の参加のもと「真相報告集会」をひらき、今後の部落解放運動と同盟組織の再生に向けたとりくみ課題を明解にした。
 中央本部は、この間の諸動向を注意深く見守りながら、9月29日に中央執行委員会の見解として、『大阪「飛鳥会」問題一連の不祥事にかかわる見解と決意』(解放新聞10月9日号掲載)を公表してきたところである。
 重要なことは、ここ数年来の大阪「飛鳥会」問題をはじめとした各都府県連での蓮の不祥事を教訓化し、全国の都府県連・支部が同様の問題を抱えていないかの点検も含めて、これからの部落解放運動をすすめるにふさわしい組織になっているかどうかの組織総点検・改革運動を徹底的にやりきることである。
 今般実施する「組織総点検・改革運動」は、今後の部落解放同盟の存亡をかけた「待ったなし」のとりくみであることを自覚しなければならない。6月から9月にかけて実施した「都府県連別支部活動者会議」での議論は、そのことを雄弁に物語っている。

 組織総点検・改革運動は、10月から12月にかけて2000余支部すべてで実施するものである。組織総点検・改革運動の基本的視点としては、①運動の原点である「部落差別からの完全解放の実現」をめざす大衆団体であるとの綱領的立場から組織を総点検すること②運動の停滞や腐敗は組織の民主的運営にかかわる基本原則から逸脱したときに起きるという視点から組織現状を正確に把握すること③総点検の目的である組織改革と強化に向け「組織強化基本方針」(2001年)を各級機関で徹底的に議論し地域事情に即して具体化することを掲げている。
 そのすすめ方の基本は、①中央役員・中央オルグとすべての都府県連執行部との膝詰め論議②中央役員・オルグおよび都府県連役員とによる重点支部との膝詰め論議③都府県連役員と上記以外のすべての支部執行部との膝詰め論議という形をとって、徹底した双方向の議論を積み重ね、全支部での総点検にもとづく改革への課題を明確にしてちゅうちょなく実践に移していくことである。
 今般の組織総点検・改革運動をけっして「形だけを整えるおざなりのとりくみ」に落とし込めることなく、部落解放運動と部落解放同盟の存亡と再生をかけたとりくみとして位置づけ、すべての各級機関の役員およびすべての同盟員が激論を交わしながら真剣にとりくみをすすめていくことを強く期待するものである。

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