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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

闘魂と遺志受け継ぎ
大きく前進する年に
「解放新聞」(2008.01.14-2352)

 2008年を、部落解放―人間解放に向け、大きく前進する年にしよう。
  今年は「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界の自由、正義及び平和の基礎をなすもの」とした、「世界人権宣言」が採択されて60年になる。宣言は、「人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらした」と第2次世界大戦を総括している。
  しかし、世界各地で、いまだに侵略戦争など、さまざまな「野蛮な行為」が繰り返されている。とりわけ、グローバル化のもとで露骨な収奪、搾取、人身売買、児童労働の強制などが、アジア・アフリカをはじめとした発展途上国と先進国とを経済的に取り結ぶなかで、おこなわれている。
  グローバル化のなかで、大資本はますます大きくなり、貧困層はますます拡大され、絶対的貧困層とよばれる人びとが確実に国内外で増えている、というのが現実だ。

 国内でも格差はますます拡大し、固定化され、ワーキングプアなどとよばれる絶対的貧困層が増加している。
  派遣労働など、非正規労働者を創作し、活用することでの搾取のうまみを知った大資本は、ますます非正規労働者を増やし、「家庭団らん法」などというネーミングで、正規労働者のホワイトカラー層に残業手当も出さない「ホワイトカラーエグゼンプション法」の制定を狙ったり、非正規労働者と正規労働者の格差をなくすという口実で、正規労働者の労働条件や賃金を切り下げるという策動までおこなわれている。
  こうした、経済的―社会的閉塞状況が、必然的に、陰湿で悪質な差別事件の増加というかたちであらわれてきている。それは、みずからへの抑圧を、より弱い立場の他の被差別者に向けるためだ。

 いま、私たちがおかれている経済的な状態を、ながながときいてきたのは、かつては部落がうけていた貧困や社会的セーフティネットからの排除などという問題が、いま、日本中に広がっているからだ。
  こういった状況のなかで、いま、私たちは何をなすべきか。
  まずは、同じ部落の仲間が荊冠旗のもとに結集し、差別、貧困、健康問題で困り、生活が成りゆかず、生命をも失いかねない仲間に手をさしのべ、ともに闘い、成果を得ること。同時に、同じような状況におかれた多くの人ぴとともともに闘い、成果を共有化し、この国の民主主義を拡大していくことが、なによりも重要な課題であることを確認しよう。
  同時に、人と人を切り離す差別からの救済法が、人と人の関係を再び結ぶものであり、救済法の制定が必要なこと。狭山に象徴されるえん罪が裁判員制度のもとでもおこらないように、捜査の可視化や証拠開示が重要であることを理解し、なんとしても第3次再審闘争で勝利する決意を固めよう。
  戦後の部落解放運動の第2期を、卓越した指導力を発揮して部落解放同盟を大きく飛躍させ、連帯・共闘の第3期の新たな運動をめざし発展させた、故上杉佐一郎元委員長の没後12年(13回忌)をむかえ、その闘魂と遺志を受け継ごう。「提言」に示された運動の方向性を学習し、大いに論議し、部落解放運動を再生しよう。

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