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部落問題資料室
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主張

 

全国大会での真剣な論議を
地域での実践活動に結びつけよう
「解放新聞」(2008.03.24-2362)

 第65回全国大会は、部落解放運動が戦後最大の危機的状況にあるとの緊張した認識のもとに、再生・改革への具体的で真剣な議論が展開され、「部落解放運動の再生に向けた基本課題」を柱とする運動方針を採択し、成功裡のうちに幕を閉じた。
  大会議論は、昨年末に出された「部落解放運動への提言」と真正面から向き合いながら、危機的状況をのりこえて再生への確かな道を踏み出していこうとする静かな熱意にあふれたものであったといえる。
  格差社会のもとで貧困と差別・排除が部落を襲ってきている時代背景のもとで、生活保護制度の問題や仕事・教育の問題がふたたび大きな課題になってきている。これらのとりくみを柱にしながら「人権のまちづくり」運動を推進するなかで、人と人とのつながりを結びなおしていくことの重要性と緊急性が堅実に議論された。
  そこでは、今大会で新たに提案した「社会的セーフティネット構想(第1次案)」や「男女平等社会実現基本方針(改訂版)」が重要な役割をもっており、これを実践のなかでさらに深めていくことが確認された。
  また、これらの再生に向けての新たな部落解放運動を展望するうえでの部落解放理論の検証・発展が強く意識された大会でもあった。

 第65回全国大会の運動方針では、「現在の危機とは、部落解放運動の存在と歴史そのものが阻われている危機であり、……第一義的には部落解放同盟自身の内的要因であるとの認識姿勢が大事」であることが強調され、部落解放運動再生への道は、各地域の全支部・全同盟員が部落解放運動の原点に立ち戻って、運動と組織を「創りなおす気概」を発揮できるかどうかにかかっていることが指摘された。原点に立ち戻るという活動の立脚点は、水平社宣言(自主解放の解放思想)、部落委員会活動(世話役活動の活動スタイル)、三つの命題(部落差別定義の解放理論)を拠り所に、それらを今日的に継承・発展させることであるということが確認された。
  このような基本姿勢を堅持しながら、これまでの「総点検・改革」から、具体的な「再生・改革」へのとりくみを大胆におしすすめることが決定された。そこでの要点は、①「特措法時代」の悪しき体質と弊害(懸念事項)を徹底的に克服すること②地域の部落大衆から部落解放同盟が本当に必要とされ信頼されているのかという観点から再生課題をつかみとること③そのためにも、各支部自身が地域や組織の実態を正確に把握し、地域性を大事にした新たな運動課題を明確にしていくとりくみを真剣に実施することが明らかにされた。
  同時に、「部落解放運動への提言」を謙虚に受けとめ、真正面から向き合い、実践のなかで血肉化するために、組織内部での大衆的な学習と討論を積み重ね、運動と組織を根本から問い直す議論を展開し、同盟の主体的判断と責任にもとづく「提言」内容の具体化を実現していくことも確認されたところである。

 「「運動と組織の再生」にむけた基本課題」では、①運動再生プロジェクトのとりくみとして、規約改正や行動指針、情報ネットワーク戦略などに関するプロジェクトを立ち上げるとともに、中央理論委員会や中央オルグ団活動の抜本的強化をはかることと同盟員の意識改革を成し遂げるための総学習運動の展開をすること②指導性強化に向けた中央執行体制の改革方向として、現行執行体制の抜本的見直しや外部からの有為な人材活用、対策部から運動部への名称変更とシステム改編、ブロック執行体制や中央本部事務所のあり方の検討、最終的な全国諸集会の改革検討をおこなうこと③「部落解放運動再生・改革」全国行動を今秋期に実施することなどを決定した。
  さらに、今年度の「5つの重点とりくみ課題」として、①格差社会のもとで急増する差別事件にたいする糾弾闘争を強化する課題②生活現場から「人権のまちづくり」運動を根づかせる課題③反差別の視点から「人権の法制度」確立をめざす課題④狭山第3次再審勝利と司法の民主化をかちとる課題⑤衆議院選挙での「松本龍」副委員長の7選必勝の課題を確認してきたところである。

 私たちは、一昨年の5月以来の不祥事を契機にして、部落解放運動が陥っている危機的状況について、2年間にわたる真剣な論議と実践を通じて、問題の本質的解明と危機打開の再生への道を模索する努力をおこなってきた。とりわけ、総点検・改革運動のなかで、早急に克服すべき具体的な課題(9項目の懸念事項)も提示してきた。
  今回の全国大会では、これらのとりくみを踏まえて、「総点検」活動から「再生」課題への具体的とりくみ方向へ重点移行させる提起をしていることに留意しなければならない。すでに「総点検」の段階は終えようとしているのであり、各地域からの「再生」への具体的とりくみが力強く開始されなければならない。
  全国大会での議論を大事にしながら、決定された運動方針を、さらに地域特性を活かして都府県連・支部でさらに具体化し、同盟員一人ひとりがとりくむべき課題を具体的に明らかにして、部落解放運動再生への着実な実践活動に結びつけていこう。

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